2015年5月8日金曜日

【優れた技術を後世に】土木学会北海道支部が14年度技術賞選定

 土木学会北海道支部の14年度技術賞に「道道知床公園羅臼線マッカウストンネル」(北海道釧路建設管理部)、「網走湖塩淡境界層制御施設網走川水系網走川大曲堰」(北海道開発局網走開発建設部)、「施設整備事業の内配水施設国庫補助事業平岸配水池耐震改修工事(NO.1池)」(札幌市水道局)の3件が選ばれた。


 ◇マッカウストンネル◇
 道道知床公園羅臼線の羅臼町共栄町地区は、知床半島南側斜面の知床国立公園や世界遺産登録地域に隣接する地域だが、越波や地震、降雨による落石、土砂崩れなどによる通行止めで集落の孤立化も起きるなど、代替ルートの必要性が高まっていた。
 ルート上には北海道指定天然記念物であるヒカリゴケ生息地が存在していることから、生息環境を保全しながら安全な通行ルートを確保するため、防水型トンネル(ウオータータイト工法)を採用。延長498・5メートルのうち、150メートルを防水型構造とし、コスト縮減も考慮した。
 施工前と施工中、施工後にヒカリゴケの生育環境をモニタリング調査するとともに、施工評議会を設置して有識者による検証を受けるなどし、万全の対応を図った。
 

 ◇網走川水系網走川大曲堰◇
 網走湖は、網走川の河口から約7キロに位置し、上部が淡水層、下部が塩水層の2層構造になっている。昭和50年代後半から淡水層の富栄養化により青潮が発生するなど水質が悪化し、特産品のヤマトシジミの資源量が大幅に減少する被害が発生していた。
 このため04年に水質改善行動計画を策定し、仮設ゲートによる塩水遡上制御実験を行い、堰のゲート天端高や運用方法を決定。10年10月に工事着手し、14年1月から運用している。
 現在実施しているモニタリング調査では、青潮発生の抑制やヤマトシジミの資源量の回復などの効果が確認されている。


 ◇平岸配水池耐震改修工事◇
 平岸配水池は四つの池で構成され、有効容量約10万立方メートル、給水人口54万人の北海道最大級の基幹配水池。1970年に建設されたNO.1池は耐震診断の結果、側壁と底版の曲げ耐力が不足しているため、耐震補強を行うこととなった。
 耐震改修工事では、北海道の水道事業体で初めて、設計から施工に至るまで一貫して3次元静的有限要素解析を導入し、地震対策の合理化、寒中コンクリートの高品質化を図り、耐震性と水密性を有するコンクリート構造物の施工を実現した。

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