2015年5月19日火曜日

【どうなる地下鉄大江戸線延伸】交政審答申に向け正念場/沿線4区市が街づくり計画検討

都営大江戸線の延伸想定ルートと駅位置
都市高速鉄道12号線(都営地下鉄大江戸線)の延伸促進活動を進めている東京都と埼玉県内の4区市(東京都練馬区、埼玉県新座市、東京都清瀬市、埼玉県所沢市)が、新駅設置が想定される地区の街づくり計画を検討している。今後の首都圏の鉄道整備について検討している交通政策審議会(交政審、国土交通省の諮問機関)が今夏、15年度中の答申に向けて関係自治体へのヒアリングを行う予定で、各区市の延伸促進活動も正念場を迎える。

 ◇東京都練馬区でまちづくり構想の検討が加速◇

 大江戸線延伸計画は、現在の終点の練馬区光が丘から大泉学園町を経て埼玉県内のJR武蔵野線までを結ぶ構想。練馬区内で想定されている新駅は、土支田、大泉町、大泉学園町の3カ所(駅名はいずれも仮称)。区は「今までは駅周辺の整備イメージを示すことが不十分だった。本年度は地元との対話を重ねながら駅前広場、拠点となる施設など周辺整備の具体的な構想づくりを重点的に進めたい」という。
 土支田、大泉町の各駅周辺は、生産緑地や未利用地も一定程度あるが、大泉学園町は風致地区で、大型の住宅開発の余地は限られており、既成住宅地のリニューアルなども視野に入れる。土支田駅周辺では区施行の土地区画整理事業が進んでいる。区は延伸に備えた基金を14年度までに約11億円積み立てた。15年度は5億円、16、17年度は10億円ずつ積み立てる予定だ。

 ◇新駅設置で利便性高まる埼玉県新座市◇

 埼玉県新座市は、馬場地区に新座中央駅(仮称)を想定している。新駅が設置されれば、新宿駅まで所要時間が35分程度と利便性が一気に高まる。
 市がまとめた「新駅周辺地区におけるまちづくり構想」の対象地域は約90ヘクタール。全体を7ゾーンに分け、新駅想定地周辺は公園・緑地ゾーン、関越自動車道沿いは広域交通ゾーンとしてスマートインターチェンジの設置を想定。東部の文化・教育ゾーンには大学、医療ゾーンには総合病院などを誘致する。このほかに商業・業務ゾーン、住宅ゾーンなどを設けた。
 市によると、商業者や大学などから具体的な反応もあり、事業者へのヒアリングを基に当初計画を変更するなど「絵に描いた餅ではなく、実現性は高い」と自信を深めている。

 ◇清瀬、所沢両市でも本格検討開始◇

 清瀬市は、都市計画マスタープラン(01~20年度)に、新駅「(仮称)清瀬北部駅」を位置付けた。都市再生機構の旭が丘団地西側から都住宅供給公社の台田団地の南側辺りを想定している。両団地は昭和40年代に建設され、新駅設置が決まれば団地のリニューアルが加速することが期待される。大林組の技術研究所などがある新駅の南西側には研究開発施設を誘導する。市は「市役所建て替えなど大型事業も控えており、答申の内容を見てから今後の方向性を本格的に検討したい」(企画課)としている。
 所沢市は、延伸線の接続が想定されるJR武蔵野線・東所沢駅の周辺地区のうち、現在は市街化調整区域(畑)になっている「東所沢駅南東地区」(本郷)の開発を進めることを、昨年3月に策定した「所沢街づくり基本方針」に盛り込んだ。ただ、現段階では計画は具体化しておらず、清瀬市と同様、答申を待って本格的な検討に入る方針だ。

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