2021年12月27日月曜日

【2023年の実大実験目指す】長大ら、水上都市実現へ人工地盤技術開発

大阪・関西万博の開催に向け提案した水上パビリオン
(長大、ウォーターフロントリアルエステート提供)

 長大が海面に人工地盤を浮かべ、水上都市を実現する技術を兵庫県のスタートアップと共同開発した。人工地盤は切り離し可能なモジュールで構成し、地盤部分に空気層と基礎杭を設置する。モジュールを複数基つなげると安定して水面に浮かぶ。2023年に瀬戸内海で実大実験を行う方針。長大は人工地盤を使用した洋上風力発電事業に弾みを付ける考え。

 人工地盤技術は長大とスタートアップのウォーターフロントリアルエステート(兵庫県西宮市、中島俊夫社長)が共同開発した。現在特許を出願中。1辺の長さは20~25メートルを想定。六角形に加工した人工地盤を連結し、地盤の上に建造物を建設できるようにする。

 人工地盤の下を覆うようにゴム風船状の空気層を設置する。モジュールを安定させるため、基礎杭も設ける。波の高さに応じて一部の基礎杭が外れるように工夫しつつ、地盤自体の重量が大きい場合は空気層を厚くする。

 複数のモジュールを連結すれば、さらに安定性が増すという。連結部分にライフラインを格納でき、台風などの荒天時にはモジュールを分割して船舶などで運搬できる。

 長大とウォーターフロントリアルエステートは、6~10月に東京大学新領域創成科学研究科と連携して実験を行った。正方形にしたモジュールの模型を水槽に浮かべ、波の大きさに応じて模型がどう揺れるかなどを検証。実用化を目指し、23年には実大のモジュールを使用した実証実験に着手する予定だ。

 人工地盤の実現を目指し2社は25年に開催を予定する日本国際博覧会(大阪・関西万博)で、水上パビリオンを提案。実証実験の成果を踏まえ、洋上風力発電事業の実現を目指す。

【回転窓】いたわりの連鎖に期待

 内部の会合や発注機関との意見交換などのあいさつ文を必ず自作しているある都道府県建設業協会の会長が「今年もA4の原稿が200枚を超えた」と話していた▼振り返ってみると、春先には公共工事設計労務単価を据え置く特別措置が講じられた。建設業をワクチン接種の優先業種にした地域があったり、ゼネコンがロボット技術の研究開発などで連携する動きが出たりした。静岡・熱海では盛り土の規制強化を促すことになる大規模な土石流が発生してしまった▼コロナ禍の終わらない2021年。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令は232日間にもなり、感染症対策とともに変化への対応が求められた▼「こういう時だからこそ、人と人とのつながりを大切になさってください」。仕事納め前の最後となった大安吉日に行われた起工式で宮司が話していた。距離感や意思疎通が難しいのだから「どこかの誰かのために」。人をいたわる優しい気持ちが連なるほど、健やかで幸せな日常が続いていくのだと来年も信じたい▼本紙は年内の発行を本日で終えます。ご愛読に深謝いたします。良いお年をお迎えください。

2021年12月24日金曜日

【わっくん、大空翔る!!】若築建設がスターフライヤーに機体広告

  若築建設のマスコットキャラクター「わっくん」が大空に--。北九州空港に拠点を置く航空会社・スターフライヤーが運航している旅客機1機の機体後部に、カモノハシのわっくんと社名を描いた企業広告がお目見えした。19日から国内6路線で運航が始まっている。

 スターフライヤーは11機を保有し羽田、中部国際、関西、宇部、北九州、福岡の各空港に運航している。若築建設は北九州で若松港築営を目的に若松築港会社として創立したのが起源。発祥の地・北九州への貢献と感謝の気持ちを込め、機体広告を決めたという。同社経営企画部広報室は「会社に求められている企業価値の向上や知名度アップに少しでもつながれば」と期待している。

2021年12月23日木曜日

【概算事業費は100億円】阪神タイガース2軍本拠地、兵庫県尼崎市への移転正式決定

新施設の完成イメージ(阪神電気鉄道提供)

  阪神電気鉄道とプロ野球阪神タイガースは22日、兵庫県尼崎市への阪神タイガース2軍本拠地の移転が正式決定したと発表した。同日、尼崎市議会で小田南公園(尼崎市)への移転に向けた議案が議決された。天然芝の野球場や室内練習場、選手寮兼クラブハウスなどを整備する。2022年末の着工を予定。概算事業費は約100億円。

 尼崎市への移転を巡っては、5月に3者が「小田南公園整備事業に関する基本協定」を締結。その後、協議を重ね、市議会の議決を得て正式に決まった。球団創立90年となる25年2月のオープンを目指す。

 計画では公園北側に阪神タイガース2軍の野球場と練習場、東側に公園の野球場、西側に広場を整備。フィールドは甲子園球場と同じ大きさで同方向。観客席は約3600席。臨時外野席は800人を収容する。規模は3階建て延べ1万0812平方メートル。LEDのナイター照明灯6基、スコアボードを設置する。観客席は災害時の一時避難所として活用する。

 阪神なんば線を挟んだ公園南側は室内練習場(平屋6160平方メートル)と選手寮兼クラブハウス(3階建て延べ3643平方メートル)を建設する。

【広報活動、今年のトレンドワードは…】プレスリリースキーワード、首位は「DX」に

  2021年のプレスリリースで最も多く登場したキーワードは「DX(デジタルトランスフォーメーション)」だったことが、プレスリリース配信サービスなどを運営するPR TIMESの集計で分かった。

 企業活動や日常生活で欠かせないものになったDXに関するリリースが多く発信された。昨年後半からキーワードランキングで順位を上げ、今年は常に1位または2位で推移した。

 同社が運営するプレスリリース配信サービス「PR TIMES」は、8月末時点で利用企業数が5万8000社を超え、国内上場企業の利用率は47%となっている。配信時に発表企業がキーワードを最大10個登録できる。1~10月に配信した計23万0990件のプレスリリースのキーワード登録総数175万7266個を対象に、年間・月別ランキングや業界別分析などをまとめた。

 年間総合ランキングは1位のDXに続き▽2位=新商品▽3位=コロナ▽4位=キャンペーン▽5位=SDGs(持続可能な開発目標)-となった。2位の新商品にはコロナも併せて登録される傾向にあり、コロナ禍で新商品が数多く生まれたと見られる。オンライン(7位)、おうち時間(8位)、テレワーク(11位)といったキーワードも上位にランクイン。コロナ禍の新しい生活様式に必要なサービスや商品の発表が増えていると分析している。

 1月に20位だったSDGsは毎月順位を上げ、10月にはDXに次いで過去最高の2位になった。SDGsを意識した商品・サービスの選択は、利用者にとって社会貢献に寄与できるという意識もあり、支持を集めやすい。このため企業活動の取り組みにとどまらず、商品・サービス自体にSDGsの考え方を盛り込んだものが生まれるようになっており、企業発表でも件数を伸ばしたと見られる。

 今後注目される新しいキーワードとして、ブロックチェーン技術を用いた新技術「NFT」や、インターネット上に作られた3D仮想空間「メタバース」を挙げた。

 業界別の動向を見ると、「住宅・建築・建設」分野の年間ランキングは▽1位=不動産▽2位=住宅▽3位=SDGs▽4位=マンション▽5位=テレワーク-の順。リノベーションや働き方改革が上位に位置した月もあった。

 「ビジネス・コンサルティング」分野は▽1位=スタートアップ▽2位=DX▽3位=マーケティング-となった。「素材・化学・エネルギー」分野は▽1位=再生可能エネルギー▽2位=SDGs▽3位=脱炭素-だった。

【本紙からのお知らせ】2022年4月に「日刊建設工業新聞・電子版」を創刊します

 日刊建設工業新聞社は読者サービスの一環として、2022年4月に「日刊建設工業新聞・電子版」を創刊します。テレワークの普及など働き方が大きく変わっています。職場以外でも本紙がいつでもどこでも、パソコンやスマートフォン、タブレットでご覧いただけます。IDとパスワードを登録すれば記事の「切り抜き」機能、お気に入りの記事がブックマークできる「記事クリップ」機能などが無料で利用できます。

 数多くの記事から読みたい記事を探す検索機能も充実。検索ワードのハイライト強調で探していた記事にある検索ワードが一目で分かります。気になる記事を「記事クリップ」に登録しておけば、時間がある時にまとめ読みするのに便利です。

 自動メール配信機能は検索条件(最大4件)とメールアドレス(最大3件)を事前登録すれば、本紙に掲載された最新記事の検索結果がお手元に届きます。

 紙面ビューアー・記事ビューアーで本紙と同じレイアウトのまま紙面を読むこともできます。画面の拡大・縮小はもちろん、切り抜き時の閲覧も可能です。スマートフォンやタブレットはタッチ操作でより快適に記事が読めます。紙面、記事ともにPDFデータの印刷とダウンロードができます。

 これまでの日刊建設工業新聞オンラインサービス(人事・入落札・発注情報検索)は電子版スタート後も引き続きご利用いただけます。電子版の創刊に合わせオープンサイトも大幅にリニューアルします。注目の最新ニュースをはじめ、イベントや書籍など建設産業の総合情報をこれまでにも増して積極的に発信します。

 電子版の無料コースと有料コースの料金(税込み)と主な機能の使用条件は次の通りです。購読時の消費税率は紙(8%)と電子版(10%)で異なりますのでご注意下さい。

 来春創刊の日刊建設工業新聞・電子版にご期待下さい。問い合わせはメールで電子版担当(denshi@decn.co.jp)へ。

2021年12月22日水曜日

【回転窓】復興道路が全線開通

  「閉鎖系倫理意識」。東京大学名誉教授で医師の大井玄氏は自著『環境世界と自己の系譜』で、日本人の倫理観をこう表現している▼国土が狭く他に移住できない地域で、人口が多くても環境を破壊せず、平和に永続することを余儀なくされた時に育まれる倫理意識という▼深層心理の特徴は自己卑下的視点と他者とのつながりを求める傾向として現れる。つまり協調性だ。日本人は過去に何度も災害に遭い、そのたびに復興してきた。その時に「和」を重んじる行動の大切さを知らず知らずに学んできた▼東日本大震災からの復興の「リーディングプロジェクト」となる復興道路・復興支援道路が18日に全線開通した。沿岸部の縦1本と東北道を結ぶ横3本の道路(総延長570キロのうち、新事業区間224キロ)がわずか10年という短期間で完成した。異例のスピードで整備された背景には、一日も早く被災地を復興させたいという日本人の協調性があったからではないか▼大震災で多くの犠牲を払った。ただ、それを悲しみだけで終わらせてはいけない。この道路が被災者の方々の真の復興を呼び込む「みち」になってほしい。

【内閣府有識者会議、巨大地震の被害想定公表】死者数10万~19万人、建物全壊は8万~22万棟に

  内閣府が設置した有識者会議は、東日本大震災の震源となった「日本海溝」と十勝沖から北方領土にある「千島海溝」沿いで想定される巨大地震の被害想定をまとめた。避難行動が遅くなる冬季の深夜に最大クラスの地震が発生した場合、最大で日本海溝地震は死者約19万9000人、全壊約22万棟、千島海溝地震では死者約10万人、全壊約8万4000棟に達するとした。

 昨年4月に公表した最大規模の地震と津波の推計を基に、中央防災会議の下部組織「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震対策検討ワーキンググループ(WG)」(主査=河田恵昭関西大学理事・特別任命教授・社会安全研究センター長)が被害想定を21日に公表した。

 被害想定エリアが積雪寒冷地域に当たることから、▽冬・深夜▽冬・夕▽夏・昼-の3パターンに分けて被害量を推計。冬季の深夜は積雪・凍結で避難速度が低下し、冬季の夕方は火気使用が多いため地震に伴う出火・延焼が起きることなどを考慮に入れた。冬季は積雪荷重が加わり揺れによる全壊棟数が増えるとも予測している。

 全壊棟数はパターン別に日本海溝地震約22万棟前後、千島海溝地震約8万1000~8万4000棟と予測。両地震ともに津波による被害が多くを占める。被災地の資産などの被害は日本海溝25・3兆円、千島海溝12・7兆円と推計。うちインフラ・ライフラインなど公共部門の被害は日本海溝7・8兆円、千島海溝4・6兆円とした。道路施設被害(路面損傷、沈下、のり面崩壊、橋梁損傷など)に限定すると、日本海溝約6500カ所、千島海溝約1300カ所で発生すると予測した。

 津波からの早期避難や建物の耐震化などによる防災対策の効果も推計した。▽津波避難ビル・タワーの活用・整備▽建物の耐震化率100%▽急傾斜地崩壊対策100%▽感電ブレーカーなどの設置-などの対策を講じれば、両地震ともに最悪のケースから死者数を8割減少できる。

 寒冷地特有の課題として避難時に低体温症で死亡リスクが高まるケースも想定しているが、避難所への2次避難路整備や備蓄倉庫(防寒備品)整備などでリスクを限りなく最小化できる。建物の耐震化や火災対策の推進で、揺れや火災による全壊建物を数千棟単位で減らせることも示した。

 21日の定例会見で二之湯智国土強靱化担当相は、被害想定結果を踏まえ「防災・減災対策が着実に進められるよう、関係省庁と連携しながら全力で取り組んでいく」と述べた。「地方財政に過度に負担にならないような措置も今後考えていかなければならない」とも話している。

【情報ネット施工に6選手が出場】エクシオグループ、水谷匠吾氏が技能五輪全国大会で金メダル

技能五輪に出場したエクシオグループの6選手(報道発表資料から)

  東京都江東区の東京ビッグサイトで18、19日に開催された「第59回技能五輪全国大会」の情報ネットワーク施工職種で、エクシオグループの水谷匠吾選手(埼玉県代表)が金メダルを獲得した。同社に所属する選手が情報ネットワーク施工職種で金メダルを獲得したのは3大会連続、通算9回目となる。

 技能五輪全国大会は地方予選などを勝ち上がった23歳以下の青年技能者が日ごろの成果を競い合う。厚生労働省、中央職業能力開発協会、東京都の3者が主催した。第59回目となる今大会は42職種に1028人の選手が参加し、熱戦を繰り広げた。

 エクシオグループからは水谷選手含めて6人が同職種で出場した。入賞者は次の通り。敬称略。

 【金メダル】水谷匠吾

 【銀メダル】鳥羽有珠

 【敢闘賞】村上栄実里、村田博規、渡邉翔。

【初期投資は1兆円超】大阪IR、設置運営会社に大林組や竹中工務店ら出資へ

IR施設の全景
(MGMリゾーツ・インターナショナル、オリックス提供)

  大阪府と大阪市は21日、副首都推進本部会議を開き、大阪に誘致するカジノを含む統合型リゾート(IR)施設の整備計画案を明らかにした。設置運営事業予定者の米MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスが中心となってつくるIR事業者「大阪IR株式会社」(予定)には大林組や竹中工務店、大成建設、大和ハウス工業など20社が出資。府市とMGMらは2022年4月ころ、国がIR施設の場所を示す区域整備計画に大阪の計画が盛り込まれるよう申請する。国の認定は同夏頃以降。23年夏頃の着工を見込み、29年秋から冬の開業を目指す。

 IR事業者には、このほか岩谷産業、大阪ガス、関西電力、近鉄グループホールディングス(HD)、京阪HD、サントリーHD、JTB、ダイキン工業、南海電気鉄道、NTT西日本、JR西日本、日本通運、パナソニック、丸一鋼管、三菱電機、レンゴーが参画。

 大阪府・市は大阪市此花区夢洲(約49・2万平方メートル)で、世界最高水準の成長型IR誘致に取り組む。MGMらの提案によると、初期投資額は約1兆0800億円で、総延べ床面積は約77万平方メートルの複合観光施設を計画。開発コンセプトは「結びの水都」とした。世界中から夢洲に訪れた人々を、関西・大阪だけでなく日本全体と結ぶ結節点をつくる。

 提案によると、国際会議場施設(延べ床面積約3・7万平方メートル)や展示施設(約3・1万平方メートル)、魅力増進施設(1・1万平方メートル、日本食PR施設や博物館など)、送客施設(約1・3万平方メートル、バス、フェリーターミナルなど)、宿泊施設(約28・9万平方メートル)、エンターテインメント施設(約1・3万平方メートル)、飲食・物販・サービスなどの施設(約31・0万平方メートル)、カジノ施設(約6・5万平方メートル)を整備する。

 市は、IR施設用地の土壌汚染・液状化対策と地中障害物撤去に約790億円を投じると公表。夢洲に警察署を新設する計画も明らかにした。

2021年12月21日火曜日

【回転窓】はやり廃りは世の常だが…

  5月に始めたダイエットは8カ月が経過した。家族の冷ややかな言葉と視線を浴びながら“鳥の餌”ことオートミールを毎朝食べる生活もすっかり日常になった▼最初は食欲を抑え込むのに苦労したが、不思議なもので慣れるとそれが当たり前になる。高タンパクで低脂質な食事を心掛ける生活も「それほど悪くないな」と思っている▼今月初め、料理レシピの検索・投稿サイトを運営するクックパッドが「食トレンド大賞2021」を発表した。栄えある(?)大賞に選ばれたのは「オートミールごはん」。ダイエットや健康に気を使っている人がお米などの代わりに食べ、チャーハンやパンケーキなどアレンジ料理もたくさんあるとか▼オートミールがひそかなブームになっているというニュース。背景にはステイホームで運動不足になりがちな環境があったそう。コロナ禍が食文化にも影響を与えていると思うとなんだか不思議で微妙な気持ちになる。はやり廃りがあるのは世の常。オートミールブームはいつまで続くのか▼年明けに会社の健康診断が入っている。流行に左右されず鳥の餌生活をこれからも楽しみたいと思う。

【コンセプトは『伝統と革新』】ダイダン、33年ぶりにユニホームをリニューアル

「伝統と革新」をコンセプトにデザインした(報道発表資料から)

  ダイダンは33年ぶりにユニホームをリニューアルした。年明けから着用する。2023年に迎える創立120周年に向けた記念事業の一環。「伝統と革新 LEADER’s STYLE」をコンセプトに機能やデザインを一新した。パンツは3タイプから選択でき、他のユニホームを含めて全て男女別で用意した。

 監修したのはANAやコカ・コーラのユニホームを手掛けたD-STYLEのアートディレクター・岡義英氏。ダイダン若手社員と岡氏とによる「ユニフォーム刷新委員会」が中心になりデザインを決定した。

 機能面ではブルゾンの前面にウエアラブルカメラが装着できるホルダーや四つのポケット、背面にタブレット端末も収納可能な大容量ポケットを設けた。防寒服としてウインドブレーカーとインナーブルゾン、インナーベストを追加。ファン付きブルゾンは膨張しにくいスタイリッシュなデザインに見直した。冬や夏の働きやすさに配慮した。パンツはシルエット別にスリム、レギュラー、バギーの3タイプから選べる。

 岡氏は「動きやすくするため、立体裁断で自然と体を包み込むシルエットにした。タブレットやペンなどの収納にもこだわった」とポイントを説明。リニューアルに伴い廃止するユニホームは、回収して再生ポリエステル製品に再利用しSDGs(持続可能な開発目標)に貢献する。

【三陸沿岸道路が全線開通】仙台~八戸間359km、復興の象徴が完成

 

 「命の道」を教訓に東日本大震災の復興道路として国が整備してきた三陸沿岸道路が18日に全線開通した。未開通区間だった岩手県普代~久慈IC間(延長25km)が通行可能になり、青森県八戸市と仙台市を結ぶ総延長359kmの高規格道路が完成した。

 震災復興のリーディングプロジェクトとして整備していた総延長570kmの「復興道路・復興支援道路」が全て完成。未曽有の被害から10年9カ月を経て地域の悲願が達成された。

 久慈市民体育館で行われた開通式典で斉藤鉄夫国土交通相は「三陸沿岸地域を通る大動脈が全線開通し、全国の高速道路ネットワークでつながる。生活や経済を支える復興を力強く支援する」と語った。 

【「目に見える証」を次世代に】伝承ロード推進機構、22年1月から3・11バスツアー実施へ

保存された気仙沼高校の旧校舎

  東日本大震災の記憶を後世へ--。津波被害の爪痕が残る伝承施設を巡る「陸前高田・気仙沼 3・11伝承ロードバスツアー」が年明けに始まる。主催は東北地方の産学官でつくる「3・11伝承ロード推進機構」(代表理事・今村文彦東北大学災害科学国際研究所所長)。1泊2日の行程で伝承施設を巡り、復旧作業に携わった建設会社の社員ら地元関係者が語り部になり当時の様子を伝える。

 年明け1~2月に10回開催する。一般向けのツアーに先立ち、同機構は報道機関向けのモニターツアーを16~17日に開き、犠牲者を供養する岩手県陸前高田市の海岸山普門寺、宮城県気仙沼市の「東日本大震災遺構・伝承館」などを回った。

 気仙沼市の遺構は「目に見える証」として将来に津波の記憶を残すため、気仙沼向洋高校旧校舎を被災当時のまま保存整備。伝承館で語り部を務める橋本茂善さんは「維持保存にお金はかかるが、未来の子どもたちのために残していきたい」と語った。

【凜】東急Re・デザイン クリエイティブ営業部デザインチーム・橋本ひかりさん

  ◇快適なオフィスを作る◇

 住宅やオフィスなどの室内空間を整え、設計するインテリアデザイン。顧客の要望を受け止め、プロの目線で空間デザインを作り上げる仕事はセンスだけでなく、聞く力や柔軟な発想力、多様な知識が必要になる。

 会社に入って初めて手掛けたのはマンションのモデルルーム。細部まで徹底的にこだわりデザインを詰め、配置する造作家具づくりも自ら担当した。「思い描く部屋のデザインを具現化できる」のが仕事の面白さという。モデルルームの来場者に「同じ家具を作ってほしい」と依頼を受けることもあるそうだ。

 現在担当しているのはオフィスのレイアウト。住宅とは異なる発想が必要で戸惑うこともある。ただ「規模が大きく仕事の幅が広がっている」とも感じている。コロナ禍でデスクの配置を見直したいという依頼が増えた。モデルルームで培った家具の知識が役立っている。

 オフィスのデザインで大切にしているのは「使う人がどうすれば快適に過ごせるか」。限られた予算で顧客に満足してもらえる空間を作り上げなければならない。「夢を実現するのが自分たちの仕事」という思いを胸に秘め、一つ一つのプロジェクトと向き合っている。できあがった室内を見て依頼者が「ありがとう」と言ってくれるのが一番うれしい瞬間だ。趣味は城郭・寺社巡り。新しいデザインのヒントが浮かぶこともあるそうだ。

 (はしもと・ひかり)

【やっぱり!マイユニホーム!!】京浜電設(横浜市神奈川区)「3本のラインで『三方よし』」

  電気設備工事業の京浜電設(横浜市神奈川区、福島佳孝代表取締役)は9月にユニホームをリニューアルした。ジャケットの裾と胸ポケットに入る3本のオレンジラインで経営理念の「三方よし」を表現。ライダーが着るスタンドジャケットをデザインに落とし込んだ。

 「現在いる女性社員や今後入社する若手社員にかっこいいと思われるデザインにしようとリニューアルした」と福島代表取締役。協力会社からも好評という。

 現場社員は電気工事に携わるため、生地は制電素材を基本に作業しやすいようストレッチ性や速乾性、通気性に優れているものを採用した。ジャケットはコーポレートカラーのブルーとオレンジを配色。襟の折り返しがないスタンドカラーでクールな印象に仕上げた。

 管理部資材購買係主任の室田範子さんは「反射材など安全面も意識したデザインにした。ジャケットは営業や管理部も着用できるため、積極的にPRしていきたい」と出来栄えに自信を見せる。

【駆け出しのころ】ミライト取締役兼常務執行役員・瀬尾真二氏

  ◇信頼とチームワークで◇

 幼少の頃建設会社を営んでいた父親の姿を見て育ちました。小学生だった時、夏休みは建設現場でお手伝い。当時は建設業に特別な思いはありませんでしたが、父親の働く姿にどこか憧れていました。地元岡山で土木科がある高校に進学し先生の勧めもあり、通信インフラ工事の大手で将来性を感じた当社に入社を決めました。

 半年間の研修を経て10月から正社員として土木部に配属され、千葉県習志野市で電話回線の管路敷設工事を担当しました。いきなり任された現場監督。新人でも工事全体を把握し、安全・品質管理なども含め的確に指示を出さなければなりません。不安に駆られながらも「やるしかない」と必死に勉強しました。

 2年目以降も北関東を中心に地方の工事を担当しました。5人程度でチームを組み一緒に寝泊まりする。協力会社の方々は当然自分よりも年上で、元請と協力会社の立場でしたが「君は何も偉くないぞ」と先輩によく注意されました。信頼関係を築かなければ工事をうまく進められないからです。言葉遣いや接し方に気を使い「何事にも誠心誠意で対応する」ことを心掛けました。現場の声に耳を傾け、私自身も協力会社の方々から多くのことを学びました。

 9年目以降は東京都内の現場を担当。工事長で初めて携わった杉並区の現場は推進工法を使った管路工事でした。当時はまだ施工事例が少ない工法でした。掘削状況が見えず「本当に計画通りに進んでいるのか」と不安でしたが、万全な体制で無事に工事を終えることができました。

 赤坂の国道246号線で行った共同掘削工事が特に印象に残っています。約560メートル区間で歩道全面を覆工し電話と電気、水道、ガス、下水道を収容する大規模工事です。これまでは担当工事だけに専念すればよかったのですが、複数企業との共同事業ではきめ細かい工程調整や作業の効率化が求められました。日々刻々と変化する現場。他社との協議や調整に苦労しましたが、自身の成長につながった特別な工事でした。

 長い現場人生では当然失敗もありますし、工程が遅れて現場から逃げ出したくなったことも数えきれません。1人でやれることには限界があるのです。どんな時でも仲間の支えがあったからこそ困難を乗り越えられたのだと思います。

 約20年間現場を経験し本社工事調整部へ異動になりました。全社的な業務対応や協力会社の管理、コスト管理、工事長育成などを幅広い分野を担当し、仕事に対する視野が広がりました。建設業界でもDX(デジタルトランスフォーメーション)化が進み、現場管理も効率化されてきました。でも変わらないのは「現地、現物を見る」ことです。現場には技術開発や改善のヒントが隠れています。長年の現場経験を生かし次の世代に何を引き継いでいくか。残された会社人生でしっかり考えたいと思っています。

研修期間中に同期と行った旅行先で(右端が本人)

 (安全品質管理本部長兼総合調整部長支店担当、せお・しんじ)1980年岡山県山陽高校(現おかやま山陽高校)土木科卒、大明電話工業(現ミライト)入社。ネットワーク事業本部土木エンジニアリング事業部担当課長、調達本部工事調整部長などを歴任。2017年執行役員、19年取締役兼常務執行役員、20年6月から現職。岡山県出身、60歳。

2021年12月17日金曜日

【大谷社長と高橋みなみさんが対談】戸田建設、元日のラジオ番組スポンサーに

大谷清介社長㊨と高橋みなみさん(TBSラジオ提供)

  戸田建設の大谷清介社長と若手社員が、2022年1月1日にTBSラジオが放送する特別番組に出演する。番組名は「戸田建設presents高橋みなみの未来ビジョン」。タレントの高橋みなみさんがパーソナリティーを務める。放送時間は午後3~4時。戸田建設が番組スポンサーになる。

 番組前半は、戸田建設などSDGs(持続可能な開発目標)の関連活動に力を入れる3社の若手社員と高橋さんが「働きがい」「未来に向けたビジョン」などをテーマに語り合う。後半は大谷社長と高橋さんが「建設業界の働きがい改革」「SDGsの取り組み」などをテーマに対談する。それぞれの立場で仕事のやりがいや課題を語りながら、10年先の自分や国の姿を展望する。

【トンネル外径、国内最大級の15.8m】関東整備局ら、外環道都内区間のトンネル内部公開


  国土交通省関東地方整備局と東日本、中日本両高速道路会社は16日、東京外かく環状道路(外環道)都内区間のシールドトンネル内部を報道陣に公開した。「東京外かく環状道路本線トンネル(南行)東名北工事」を鹿島・前田建設・三井住友建設・鉄建建設・西武建設JVが施工している。

 公開したのは東名高速接続地点(東京都世田谷区)近くの立坑から床版施工が完了している約3・4キロ先地点(東京都調布市)まで。工事の施工延長は約9・1キロ。シールドトンネル本体工9155メートル、横連絡坑8カ所などを施工している。工事費(税込み)は約1525億円。シールドトンネルの外径は国内最大級の15・8メートルに達する。

 外環道都内区間は2020年10月に起きた陥没事故を受け掘削工事を停止している。地元の要望を受け10、11日に住民向けの視察会を開催。16日は同じ内容で報道陣に内部を公開した。

 陥没事故後、シールドマシンは発進位置から4427メートルの東京都調布市つつじケ丘2付近で停止している。東日本高速会社は、地表部が陥没した地点を含むシールド先端から約220メートルの範囲で地盤補修を実施する方針を示している。

【最優秀賞は米子高専チームら】高専デザコン2021、呉工業高専で熱戦!!

  全国高等専門学校連合会(高専連合会、後藤景子会長)が主催する「デザコン2021in呉」大会が、広島県呉市の呉工業高専キャンパスで4日に行われた。新型コロナウイルスの流行を踏まえ、臨場とオンラインを併用。構造、空間、創造、AM、プレデザコンの5部門で熱戦が繰り広げられた。

 開会式では主管校の呉高専・篠崎賢二校長が開会を宣言。主催者を代表し後藤会長は「仲間たちと一緒に準備してきた成果を披露して日本中を元気にしてほしい」とあいさつした。大会は部門別にオリエンテーションや仕様確認が行われた。

 メイン会場の体育館で行われた構造デザイン部門は、前回に続きケント紙で橋梁模型を制作し、プレゼンテーションと載荷試験で採点した。載荷試験は10キロ単位で荷重をかけ、50キロに達した時点で鉄球を転がし静荷重と動荷重の耐性を競った。

 オンライン参加の高専もあったため、載荷試験のセッティングなどは呉高専の学生が担当。鉄球はオンライン参加を除き各高専が転がした。

 載荷試験の後半になると軽量の橋梁模型が続々と登場。重りに耐えられず壊れる制作物もあり、会場に集まった学生は固唾(かたず)を飲んで試験の様子を見守った。

 試験の結果、218グラムの最軽量で最高点を獲得した米子高専の「双龍」が最優秀賞を獲得。チームを代表して瀬崎大貴さん(4年生)は「ゴールデンウイークから6カ月かけてやってきたことが報われて本当に良かった」と喜びを語った。

 次回は福岡県大牟田市(主管校・有明高専)で開催する予定だ。主要4部門の受賞校は次の通り。

 【構造デザイン】

 ▽最優秀賞(国土交通大臣賞)=米子(双龍)▽優秀賞=舞鶴(おちねぇわ)、徳山(和魅)▽審査員特別賞=明石(魁)、呉(繋)▽日刊建設工業新聞社賞=新モンゴル(隼)、三菱地所コミュニティ賞=IETモンゴル(光る蓮)

 【空間デザイン】

 ▽最優秀賞=熊本・八代(い草と人のよりどころ~)▽優秀賞=明石(新風の蔵れ家~)、仙台・名取(祭転成)▽審査員特別賞=豊田(蓄える建築)、鹿児島(Connection~)▽日建学院賞=米子(自給自足の島)

 【創造デザイン】

 ▽最優秀賞=明石(「どうぞ」から蘇るまち~)▽優秀賞=石川(バスまちづくり~)、仙台・名取(かだれ山王~)▽審査委員特別賞=仙台・名取(りらいふつちゆ)、明石(こなもんが紡ぐ~)▽クボタ賞=舞鶴(自然も体も元気に~)

 【AMデザイン】

 ▽優秀賞=仙台・名取(サーキュ・アップ)、神戸市立(アンブレ螺)▽審査員特別賞=福井(光って充電ためるくん)、旭川(ChariVT)▽呉市長賞=弓削商船(家トレ発電装置)。

【独特の視点と感性で現場を撮影】清水建設インスタアカウント「現場図鑑」、投稿写真家に女優の橋本愛さん起用

現場を撮影する橋本愛さん(清水建設提供)

  清水建設は、同社のインスタグラムアカウント「現場図鑑 Powered by 清水建設」に投稿する写真家として女優の橋本愛さんを起用した。10日から橋本さんが撮影した「虎ノ門・麻布台プロジェクトA街区(東京都港区)」の写真をアップしている。投稿期間は28日までの平日を予定する。

 橋本さんは女優として活躍しながら、雑誌に連載を持つなど写真家としても精力的に活動している。清水建設の現場で日光を浴びて影が伸びた機材や作業に従事する職人の姿を独特の視点で撮影している。

 現場図鑑への投稿に当たり、橋本さんは「建設現場を訪れ、できた写真を眺めて思い浮かんだのは『亡骸(なきがら)』という2文字。これから建物が産まれるというのにおかしなイメージですが、今この瞬間がその瞬間ごとに失われていく。それは進化というけれど、その過程の亡骸たちを写真に収めたような気がしました」とコメントしている。

 現場図鑑は独特の視点や感性を持つ写真家が日々変化する建設現場を撮影し、コメントと一緒に投稿する企画。橋本さんは15人目の写真家となる。

2021年12月15日水曜日

【専用コックピットで操作】竹中工務店と鹿島、タワークレーン遠隔操作システムを解体工事に導入

 

 竹中工務店と鹿島は14日、タワークレーン遠隔操作システムの専用コックピットを設けた大阪市内のビル解体工事を報道陣に公開した。頭上から足元までをシェルで覆う専用コックピットは、操縦席と、クレーン本体の振動や傾きを再現する振動台で構成。カメラモニターも複数設置している。解体工事に伴うクレーン作業をすべて遠隔実施するのは国内初という。

 「TawaRemo」は竹中工務店と鹿島、アクティオ、カナモトの4社で共同開発した。簡易コックピットに操縦席や確認用モニターなど必要な機能を装備。従来と同じように操作できるようにし、現場で資材揚重作業を開始した。

 2022年当初に専用コックピットを5~10台増産する。タワークレーンの改造も進め適用現場を拡大していく。清水建設を加えた3社連携では、異なる現場に設置した複数のタワークレーンを遠隔操作する拠点構築に向け、関係官庁と協議し来年の実現を目指すという。

【施工は竹中工務店ら】東京ドーム大規模改修、国内最大級のメインビジョンなど整備

メインビジョンは国内最大級の大きさになる(竹中工務店提供)

  読売新聞グループ本社と読売巨人軍、東京ドーム、三井不動産の4社は東京ドームで過去最大規模のリニューアルを行う。国内最大級のメインビジョン新設や観客席の整備などを推進。完全キャッシュレス化などのDX(デジタルトランスフォーメーション)も進める。2022年3月に開催するオープン戦からの稼働を目指す。

 メインビジョンは国内スタジアムで最大規模のフルカラーLEDに改修する。現在の238平方メートルに対し約4・4倍となる1050平方メートルの規模になる。ライト側とレフト側の外野フェンス上部にも、フルカラーLEDのリボンビジョンを設置する。横幅は2面合計で約107メートル。メインビジョンと連携した映像演出を行う。

 コロナ禍で増加したグループ観戦のニーズに対応するため、ボックス型やベンチソファ型などのグループ席を400席新設する。3階にあるバルコニー席「プレミアムラウンジ」や個室席「スイートエリア」も座席などを更新し、高級感を高める。

 場内の全売店やチケットカウンターの完全キャッシュレス化も促進。現金の受け渡しを省くことで感染対策の強化や、対応時間の短縮につなげる。工事の設計・施工は一部客席を除き竹中工務店が担当。プレミアムラウンジとスイートエリアの設計・施工は三井デザインテックが担う。

【ビューンとひと滑り】通天閣(大阪市浪速区)に全長60mのスライダー設置へ

 

スライダーの設置イメージ(通天閣観光提供)

 大阪市の観光名所「通天閣」を運営する通天閣観光(高井隆光社長)と竹中工務店、タンデム(今西健兒社長)は13日、通天閣に全長60メートル、傾斜約30度の滑り台「タワースライダー」を設置する工事に着手したと発表した。2022年のゴールデンウイークごろの完成を予定。設計・施工は竹中工務店、スライダー本体はタンデムがそれぞれ担当する。

 滑り台は地上22メートルの通天閣3階からエレベーター塔の外周を1回転半して地下1階まで約10秒で一気に滑り降りる。高低差は約27メートルあり、透明のステンレス製チューブを使用することで、通天閣を見上げながら滑降ができる。地震時にも対応する免震型を採用する。同社では「コロナ禍で冷え切った周辺地域の経済回復の起爆剤にしたい。大阪観光をけん引したい」としている。

【施工は大林組JV】川上ダム(三重県伊賀市)、12月16日に試験湛水開始

試験湛水を開始する川上ダム(水資源機構提供)

  水資源機構は三重県伊賀市の淀川水系前深瀬川で建設を進めている川上ダムの試験湛水を16日に開始する。ダムの本格運用開始に向け、貯水位を上げたり下げたりしてダム堤体や貯水池周辺の地山の安全性を確認する。施工は大林組・佐藤工業・日本国土開発JVが担当する。

 同ダムの形式は重力式コンクリートダム。堤高は84メートル、堤頂長は334メートル。総貯水容量は3100万立方メートル。洪水調節や水道用水の確保、流水機能の確保を目的に、2018年9月に本体工事が起工した。

 コンクリート打設は19年9月に始まり、今年4月に打設が完了した。22年度内の完成を予定する。16日は仮排水路呑口のゲートを閉鎖し、貯水池に水をためる。下流側にも水を流し続ける。

2021年12月14日火曜日

【回転窓】中身のある国会論戦を

  今年も残すところ約3週間、師走の忙しさがピークに達している方も多いのでは。雑誌や新聞など出版関連の業種はこの時期、“年末進行”の状態になり新年に発行する特集号の締め切り追われる▼慌ただしい雰囲気にうんざりすることもしばしばだが、「まあ仕方がない」と思って仕事に精を出すパターンが身に付いている▼2021年も緊急事態宣言の発令などコロナ禍によって社会・経済活動は多くの制約を受けた。秋に入って沈静化の方向に向かっているが、新変異種「オミクロン株」の出現で気が抜けない状況になっている▼賃金や個人消費の動向は今後を占う上で多くの企業が注目しているだろう。民間信用調査会社の帝国データバンクがまとめた21年冬の賞与動向調査によると、回答企業1万1504社の18・5%が従業員1人当たりの平均支給額で前年より「増加する(した)」という▼一方で宿泊や観光、服飾品小売りなどは状況が厳しく、小規模企業の23・5%は賞与が出ず、特に従業員5人以下の企業は3社に1社が賞与ゼロだったという。格差解消の一手をどう打つか--。国会でしっかり議論してほしい。

【施工は五洋建設JV】年度末開通予定の「多摩川スカイブリッジ」を小学生が見学


  川崎市川崎区の殿町キングスカイフロント地区と東京都大田区の羽田空港(羽田グローバルウイングス)をつなぐ「多摩川スカイブリッジ」の工事現場を11日、地元の小学生らが見学した。建設現場のPRと児童の思い出づくりを目的に川崎市と施工者の五洋建設JVが主催した。児童と保護者らは徒歩で橋を渡った後、施工中の路面に水性ペンキで思い思いの絵を描いた。橋は2021年度末の開通に向けて塗装など橋面工事を進めている。

 参加したのは川崎市立殿町小学校と東京都の大田区立羽田小学校に通う児童と保護者の計約230人。午前と午後の2回に分けて実施した。児童らは現場職員から景観に配慮し照明灯を立てず、手すり部分に低位置照明を付ける工夫や2本の橋脚で支える仕組みなど工事の説明を受けながら、約600メートルを徒歩で往復した。

 児童らは橋の上の都県境の位置や最高部からの見晴らしなどを興味深げに見学。お絵描き体験では各自が割り当てられたスペースに橋の風景や好きなキャラクターなどを描いた。

 多摩川スカイブリッジの延長は約675メートル。幅員17・3~21・3メートル。オープンイノベーションを軸にした開発が進行する二つの地域を結び、成長戦略拠点の機能強化につなげる。


 橋梁整備の事業主体は川崎市と都。施行主体が川崎市で、羽田空港側の取付部を国土交通省が施行している。設計・施工は五洋建設・日立造船・不動テトラ・横河ブリッジ・本間組・高田機工JVが担当している。

 見学会を企画した五洋建設JVの森康範総括責任者(五洋建設)は「工事期間中は周辺の方々に理解と協力をいただいている。このようなイベントを通してお返ししていきたい。少しでも児童たちの思い出になれば」と話した。

【長崎県が整備計画素案公表】長崎IR、施設規模は総延べ55万㎡

IR施設の完成イメージ(長崎県提供)

  長崎県は佐世保市のハウステンボスへの誘致を目指すカジノを含むIR(統合型リゾート)施設の区域整備計画素案を公表した。予定区域は早岐港のハーバー・マリーナ周辺敷地を含む約32ヘクタール。MICE(国際的なイベント)施設や魅力増進施設、タワーホテル、コンサートホールなどを計画し建物規模は総延べ約55万平方メートルを見込む。

 設置運営事業予定者であるカジノオーストリアインターナショナルジャパンと県で策定を進めている「九州・長崎IR区域整備計画」の素案を県議会総務委員会に提示した。素案によると事業者が公共ハーバー・マリーナを一体的に再整備する意向があるため、予定区域にこの敷地約1ヘクタールを追加する。施設は「和洋折衷」のコンセプトを意識したデザインとする。

 MICE施設は6000席の大ホール、展示総面積2万平方メートル以上の展示ホールなどで構成。地域や日本の魅力を来訪者に発信する魅力増進施設「ジャパン・ハウス」は地下1階地上6階建て延べ約2万3000平方メートルの規模で計画し、劇場や飲食・物販施設、美術館などを設ける。

 宿泊施設はタワーホテル、旧ホテルヨーロッパを改装したヨーロッパ風高級ホテル、高級温泉旅館などで2000室以上を確保する。来訪・滞在寄与施設としてコンサートホールやメディカルモールなどを設ける。カジノ施設はオーストリア国有企業が運営し規模はIR施設全体の延べ床面積の3%以内とする。このほかJRハウステンボス駅とIR施設を結ぶロープウエーの導入、バスターミナルの設置、大村港と早岐港間の海上交通網拡張なども計画している。

 概算事業費は約3500億円。年間の延べ来訪者数は約840万人、九州地域への経済波及効果は約3200億円を見込む。今後、公聴会などを開き県議会の議決後、2022年4月までに国に対する区域認定申請を行う。

【記者手帖】生活の変化と悩み

  記者は日頃から世の中にアンテナを張り、情報感度を高めなければならない。先輩記者から口酸っぱく言い聞かされた心掛けだ。ただ3年前に子どもが生まれ父親になってから、極端に言うと興味の中心は子どもになり、世の中の動きにすっかり疎くなってしまった◆記者として由々しき事態である。付け焼き刃で情報を仕入れるも、取材相手との応答に付いていけず愛想笑いで返すこともしばしば。それでも記事の質は落とせない。大いに反省し、うな垂れて帰宅することが増えた。ところが帰ってしまえばすべて忘れ、遊び、食べ、ふろに入って寝る。能天気なものだ◆幼児の目線で生活していると、これまで目に付かなかったものがこんなにも多かったのかと驚く。都会のどぶ川に咲く草花、遠くに聞こえる虫の声、かすかに漂う季節のにおい。時の移ろいはあまりにも早い。そう気付いた瞬間、またも焦りがこみ上げ現実に引き戻されるのだが◆自分のアンテナは周波数が変わっただけで、まだ生きている。むしろチャンネルが増えたのだ。取材の幅を広げるチャンスと言い聞かせながら、今日も気持ちを切り替え仕事に向かう。(ぬ)

【現滑走路東西に建設】中部国際空港、新滑走路2本整備へ

中部国際空港の全景(中部国際空港会社提供)

  愛知県の大村秀章知事は13日の定例記者会見で、中部国際空港(愛知県常滑市)にある現滑走路(延長3500メートル、幅60メートル)の東西に新たな滑走路を2本新設する案を表明した。愛知、岐阜、三重の3県、名古屋市と地元経済団体、中部国際空港会社などの関係者でつくる「中部国際空港将来構想推進調整会議」の第2回会合を14日開き、整備案の策定を目指す。

 従来の整備案は2005年に供用開始した現滑走路がある空港島の西側を埋め立て、新たに1本を増設する方向だった。新たな整備案はまず、現滑走路から見て旅客ターミナル側にある東側210メートル先で現在の誘導路を改修し、新たに2本目となる延長3290メートル、幅45メートルの滑走路として整備する。

 2本目の滑走路を整備した後、老朽化が進んでいる現滑走路の大規模修繕工事を実施。この時点で新滑走路を離陸専用、現滑走路は着陸専用にし、発着能力を現行の最大1・2倍に高める。

 その後、2本目の滑走路から760メートル離れた西側の埋め立て地で3本目となる3500メートル、45メートルの新滑走路を建設する。運用後は現滑走路を廃止し、東西の新滑走路2本の運用に切り替える。最終的には空港全体の発着能力は現行の1・6倍に高まる見通しという。

 大村知事によると、2本目の滑走路の総工費は140億円程度を見込む。整備主体は中部国際空港会社を想定している。着工や完成の時期は未定。14日の調整会議で取りまとめを目指す滑走路の整備案は、同調整会議に設けている専門部会が中心となって議論してきた。

2021年12月13日月曜日

【今度はTXプロジェクト!!】鉄道運輸機構、つくばエクスプレスの工事動画公開

  鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、秋葉原駅(東京都千代田区)~つくば駅(茨城県つくば市)間を最短45分で結ぶ都市高速鉄道「つくばエクスプレス」の工事記録動画を、動画投稿サイト・ユーチューブの「JRTT鉄道・運輸機構公式チャンネル」にアップした。

 2005年8月に開業した都市鉄道は、総延長約58メートルを最高速度の時速130キロで疾走する。都市区間の大半がトンネル、その他の区間は主に高架で構成し全線で完全連続立体交差を実現。さまざまな技術開発に取り組み、新技術を導入するなどし高度な鉄道システムの構築に挑む現場の物語を伝える。

 つくばエクスプレスを運営する首都圏新都市鉄道の協力を得て公開した。時間は約23分。鉄道運輸機構が企画し、CNインターボイスが05年に制作した。

【季節が感じられる空間に】八重洲地下街のリニューアル進行、東京ミッドタウン八重洲とも接続

リニューアル後のイメージ(報道発表資料から)

  八重洲地下街(東京都中央区、窪田弘美社長)は東京・八重洲エリアで進む再開発に並行して、地下街のリニューアル工事を実施している。季節が感じられる空間リニューアルを進めつつ、来年8月に竣工予定の「東京ミッドタウン八重洲」や「(仮称)ヤンマー東京ビル」とも接続。東京駅から八重洲方面へのアクセスを高める。

 八重洲地下街は東京駅八重洲口広場の地下に広がる商業施設。本年度に開始したリニューアルでは、照明のLED化や周辺ビルとの接続工事を進めている。天井の色を変更し、自然が感じられる映像をモニターで流すなど、空間づくりにも力を入れている。八重洲地下街の担当者は「地下街の殺風景なイメージを払拭(ふっしょく)し、季節が感じられる空間にする」としている。

 店舗の入れ替えも進めている。来年2月には国内の人気カレー店4店舗を集めた「トウキョウ カレー カルテット」をオープン。周辺のオフィスワーカーや駅利用者などを呼び込む。

【中堅世代】それぞれの建設業・304

鉄道工事に携わる技術者にとって上野駅は特別な存在

 ◇次の世代に奮闘する姿見せたい◇

  「すごい所に来てしまったな…」。7年前、東京・上野駅に降り立った広辺大勝さん(仮名)は、東京を代表するターミナル駅の迫力に圧倒された。当時の広辺さんは20代後半。鉄道工事を中心に手掛ける建設会社で働き始めて10年目に、地元の高崎(群馬県)から東京都内に勤務先が変わった。事務所があったのは上野。鉄道工事に携わる技術者にとって、上野駅で働くことは一種のステータスだった。「いつかは行ってみたい」という願いがかなった。

 ものづくりの仕事を初めて意識したのは中学3年生。進路を決める時、「目に見えるものを造りたい」と工業高校の建築科を選択した。工高3年生だった2000年代前半は建設不況のまっただ中。心のどこかに「ゼネコンはちょっとな…」という気持ちもあった。だが就職担当の先生に今の会社を紹介され、「やってみるか」という思いで建設の世界に飛び込んだ。

 入社後に配属されたのは高崎や渋川といった北関東エリア。人員も工事費も限られる中で現場をやりくりするすべを学んだ。自信が持てるようになった時期での転勤。赴任した東京の現場は全く違った。鉄道利用者の多さや工事量、スケールが桁違いだった。

 東京での仕事は基本的には高崎にいた時と同じ。線路の検査やメンテナンス、他現場の応援などがメインだった。とはいえ東京は作業に関わる人材が多く工事費は多額。施工方法の自由度も高かった。上司は「やりたいようにやってみろ」と言ってくれたが、いざやろうとしたら技術者としての引き出しが少ないと気付く場面が度々あった。

 初めは自身の未熟さがもどかしく感じた。落ち込むこともあったが「手段がたくさんあるのならとりあえずやってみよう」と前向きに捉えるように心掛けた。上野に赴任して1年余りがたった頃には、やりたいこともたくさん思い付くようになり、仕事が楽しく、やりがいを感じるようになった。話題になった新駅の工事にも微力ながら携わることができた。最初はおっかなびっくりだったが、結果的には「東京に来て正解だった」と思えた。

 約6年の東京勤務。最後の1年はコロナ禍に見舞われた。鉄道事業者の収入が激減し、自分の仕事も減った。くよくよしても仕方がないと気持ちを切り替え、余裕ができた時間を使いこれまでの仕事を後輩にフィードバックするようにした。「一生こんな世の中で終わるはずがない」。いつか息を吹き返す時のために今やれることに力を注いだ。

 今年4月から新潟県の拠点で線路の保守・点検などに携わっている。現場の生産性向上などに有効な技術を、社内に水平展開していくことが今の目標。優秀な職人がいる協力会社が元請から離れていってしまう時代。現場の環境を改善し人材をつなぎ留めることが急務だ。自分が若い頃、現場で奮闘する先輩の背中を見てきた。「今度は自分の番。現場の改善に奮闘する姿を次の世代に見せる時だ」と思っている。

【やっぱり!マイ・ユニホーム!!】フジペン(秋田県横手市)「細やかなサービス提供の思い込め」

  秋田県を中心に塗装工事を手掛けるフジペン(秋田県横手市、藤井龍太郎社長)が、9月からオリジナルユニホームを着用している。背面に入る「ペイントする人の姿」のデザインが目を引く。

 配色はコーポレートカラーの青をメインにロゴの白、両脇のネイビーと寒色系で爽やかにまとめた。藤井社長は「かっこいいデザインで塗装作業中も一目で当社と分かるようにした」と話している。

 両脇に通気性の良い生地を使い、作業中の蒸れなどを防ぐ。胸ポケットは携帯電話などが出し入れしやすいデザインで、作業中の利便性を高めた。

 背中には「FUJIPEN」のロゴとペイントする人の姿を白抜きであしらった。「背中がかゆいときに、誰かがかいてくれたら助かる」というデザイナーの発想から、「かゆいところに手が届くような、細やかなサービスを提供する会社でありたい」という思いを込めた。

 ユニホームづくりを提案したのは塗装工事担当の佐藤将吾さん。「会社のオリジナルユニホームがほしいと思い、社内勉強会で提案した」そうだ。「デザインもかっこよく、創業以来の重みを感じながら丁寧な仕事を心掛けたい」と話している。

【駆け出しのころ】鹿島専務執行役員建築設計本部長・北典夫氏

  ◇遊び心を持って楽しむ◇

 学生時代は音楽の道も考えていました。レオナルド・ダ・ヴィンチのスケッチをまねして描くなど絵画が好きだったこともあり、親友からの助言もあって建築の道を志しました。建築ではデザインなどビジュアル的なことより考え方に興味があり、専門書を読みあさりました。書籍の多くに関わる鹿島出版会を介して、ゼネコンの当社に関心を持ちました。

 当社が携わった霞が関ビルのことも知らず、ゼネコンの設計がどういうものかもよく分かっていません。入社当時、デミング賞の受賞を目指してTQC(全社的品質管理)の取り組みが活発でした。設計本部の配属でしたが、1年目はTQC関連業務の一環でデータ整理やグラフの作成などを任され、設計とはほど遠い仕事に面食らったのを覚えています。

 2年目ごろから建築の模型づくりが多くなり、ビジュアライズする人たちとのつながりが深まりました。3年目に設計本部の20~30代の若手有志4人が集まり、パリの新オペラ座(オペラ・バスチーユ)の国際設計コンペにチャレンジする機会を得ました。最初は業務時間外で行っていたのですが、会社から仕事として取り組むように言われます。オペラに関するテクニカルな知識はなく、休む間もなく大変でしたが、とにかく楽しい日々。トップには選ばれませんでしたが入賞(優秀賞)を果たし、当時の本部長をはじめ、皆さんに祝ってもらえたのがとてもうれしく、当社のことが本当に好きになりました。

 都心部の小規模なオフィスビルの設計を主担当で任されたのも、駆け出しの頃の思い出深い仕事の一つ。20代の若手ながら、現場担当の方々とより良いものをつくろうと一緒に取り組む中で、いろいろと学ぶことができました。

 顧客の言葉から描くイメージや夢をいかに建築の命題として捉え、組み立てるか。問題点の解決に向けて顧客と対話を繰り返す際、こちらから提案はしますが、相手が自ら考えたという感覚を持ってもらえるよう心掛けてきました。イメージされた領域をさらに超えるものを提案する。当時はそこまで深く考えていなかったですが、顧客とアーキテクトの関係で大切にしてきたところです。

 コンペなどの特別なプロジェクトよりも、日常的に取り組んでいる仕事の延長線上にあるものがオリジナリティーを感じられることもあります。10年目ごろに携わった建築プロジェクトでは、完成後に1階のロビー空間に入った瞬間に涙が出るほどの自分らしさを感じました。

 主体性を持って真正面から仕事と向き合う。自分のことだけでなく、他者がやったものも含めて批評することが新たな気付きにつながります。さまざまな価値を高め、多分野の人と接する機会を広げ、最終的には信頼の最大化を図る。遊び心を持って楽しみながら得たものは、設計者の肥やしになると思います。

入社3年目、新オペラ座の設計コンペを担当した
メンバーらと訪れた香港での一枚(右から2人目が本人)

 (きた・のりお)1981年東京工業大学工学部建築学科卒、鹿島入社。執行役員建築設計本部プリンシパル・アーキテクト、常務執行役員建築設計本部長(現任)などを経て、2021年から現職。神奈川県出身、63歳。

【建設業のPRに一役】日建連、俳優・高橋克典さんを「けんせつ特派員」に任命!!

  日本建設業連合会(日建連、宮本洋一会長)は、日建連表彰のPRを担う「けんせつ特派員」に俳優の高橋克典さんを任命した。

 東京都港区の「The Okura Tokyo」で9日開いた「日建連表彰2021」祝賀会で、宮本会長が高橋さんに任命証を手渡した。高橋さんは「関係者の皆さんが大切にされてきたバトンをしっかりと受け継ぎPR役を務めていきたい」と抱負を語った。

 PR活動では高橋さんが日建連表彰2021を受賞した建築物、土木プロジェクトの現場や構造物を見学。その様子を22年1月24日から動画投稿サイトのユーチューブで公開する。

 高橋さんと建設業の縁は深く、1999~2004年に放映されたドラマ「サラリーマン金太郎」で主人公のゼネコン社員を熱演した。現在は「驚き!ニッポンの底力」と題した日本の技術力を取り上げる不定期放映の番組で司会を務めている。

2021年12月10日金曜日

【回転窓】歯と健康

  「芸能人は歯が命」というキャッチコピーを覚えているだろうか。1990年代半ばに、サンギ(東京都中央区、ロズリン・ヘイマン社長)が歯みがき剤のテレビCMで打ち出して話題となった▼同社が社員向け歯科医院を開設した。定期的な歯科健診などが無償で受けられる。社員の口腔(こうこう)管理を後押しするとともに、新たな製品作りに生かすそうだ▼健康にとって歯はとても大切。第一生命グループのネオファースト生命保険(東京都品川区、徳岡裕士社長)は今月、歯の健康度を考慮して保険料を割引する認知症保険の提供を始めた。契約者が70歳になる年に永久歯の残存歯数が20本以上であれば、保険料を1~3割程度割り引く▼同社によると、かむことによる脳への刺激が減少してしまうと脳の機能低下につながると言われているそうだ。口腔環境が認知症予防に重要ということか。飲食が難しくなれば家族や知人らとの会食など楽しみも減る。心身ともに好ましくない▼歯は痛み出すまで放置しがち、というケースも多いだろう。何事もこまめなメンテナンスが大事。歯医者がご無沙汰な方はぜひ予約してみては。

【あなたの「推しインフラ」は?】コンテスト実行委、高専生対象にメッセージ付きインフラ写真募集!!

  インフラマネジメントテクノロジーコンテスト実行委員会は、第1回「インフラのある風景~お世話になったインフラ写真コンテスト」の参加作品を募集している。高等専門学校生に、好きな「推しインフラ」の写真をコメント付きで紹介してもらう。応募はホームページで2022年1月12日まで受け付ける。一般投票で優秀作品を決定し、同3月11日に結果を発表する。賞金総額は10万円。

 日々の生活の中で「お世話になった」と感じるインフラの写真(加工や文字入れ可)を撮影し、タイトルとメッセージを添えて作品を作ってもらう。応募は1人1作品まで。

 高専生がインフラに関するマネジメントやメンテナンス技術、地域協働のアイデアを競う「インフラマネジメントテクノロジーコンテスト」の関連イベント。写真撮影を通じインフラへの興味関心を喚起するのが狙いだ。

2021年12月9日木曜日

【ダム観光、地元還元の仕組みづくりを】ダムマニア管理人・宮島咲さんに聞く

  現存最古のダムは紀元前1300年ごろシリアに建設された「ナー・エル・アシダム」で、今もなお供用されている。水は文明や産業の発展、生命の維持・保護に寄与する存在、ダムは水をコントロールする存在として人類と共に歩んできた。社会の発展と国民の安全確保の継続のため、これからもダムの適切な維持管理・新設を行うことが不可欠だ。ダム紹介ウェブサイト「ダムマニア」の管理人・宮島咲さんにダムの魅力や観光資源としての役割などを聞いた。


 ◇持続可能なダム観光の仕組みを◇

 ――ダムに興味を持ったきっかけは。

 「デジタルカメラの登場と自動車運転免許の取得がきっかけです。自分の好きな山道ドライブのついでに、何かカメラで撮影しようと考えた時に思いついたのがダムです。撮り続けるうちに、形状の個性に気がつき、引かれていきました」

 ――ダム紹介ウェブサイト「ダムマニア」を運営されています。

 「2001年からダムマニアの運営を開始しました。既にダム紹介ウェブサイトはいくつかありました。私のサイトはダムまでの道のりを記しているのが既存のサイトとの違いです。昔はナビゲーションシステムがなかったので、ダムにたどりつくまで紙の地図頼りでした。地図上では、一見ただの池にしか見えない場合もあります。細い道が書かれていないこともありました。だから、ウェブサイトを読んだ方が迷わずダムにたどり着けるように、ダムまでの詳細な道のりを記しました」

 ――ウェブサイトでは何カ所のダムを掲載していますか。

 「約700基です。今まで800基ほど訪れましたが、残り100基は未掲載です。旅行のたび、何カ所も見て回るのでストックがたまってしまいます。仕事の余裕ができ次第、順次アップロードする予定です」

 ――ダム見学にどれほどの時間をかけますか。

 「小さいダムは15分、大きいダムは2時間くらいです。写真に収めてさまざまな角度から眺めます。行ったことのあるダムでも放流するときは見に行くことがあります。放流は高頻度で行うダムもあれば年に1回のところもあり、頻度はさまざまです」

 ――ダムの楽しみ方を教えて下さい。

奈良俣ダム(群馬県、撮影・提供:宮島咲氏)
 「まずはスケールの大きさを味わって下さい。大仏を見た時に似たような感覚を味わえるはずです。初めてダムを見る方は、大型で形状はアーチ式、重力式、ロックフィル式の中から選ぶといいでしょう。おすすめは宮ケ瀬ダム(神奈川県)です。上下から見ることができ、堤体内部にも入れます。資料館とダムカレーもあります。ダムとしては都心からの交通利便性にも優れています。また、毎週観光放流を実施しています」


三浦ダム(長野県、撮影・提供:宮島咲氏)

 ――思い出に残るダムを。

 「三浦ダム(長野県)が思い出に残っています。林道を8キロ以上歩かなければならなかったからです。クマなどが出没する地帯なので怖かった記憶があります」

 「四国八十八カ所霊場のお遍路さんのように、次第にダムへの厳しい道のりが修行に変わっていきました。やがてそれが『関東のダム約500カ所巡らなければ』という使命感になりました」

 ――現在の活動は。

 「現在、群馬県のみなかみ町(矢木沢ダム、奈良俣ダム、藤原ダムなど)と老神温泉(薗原ダム)で、商工会や旅館、地元の青年団と協力しながら、地元振興のシステム構築づくりに参画しています。水没移転された方たちがいるからこそ、ダムができ、私たちの暮らしを支えてくれています。だから、地元の方々に恩返しをして、より裕福な生活を送ってもらいたいと思います。地元振興でまず始めにやることは、地元民に『ダム活用で利益を出そう』と思わせることです。そこから、具体的な方策を考えていきます」

湯田ダム(岩手県、撮影・提供:宮島咲氏)

 ――観光地化に成功しているダムは。

 「宮ケ瀬ダム、黒部ダム(富山県)、湯田ダム(宮城県)などです。宮ヶ瀬ダムは観光放流、湯田ダムはライトアップや放流を行っています。ダムの観光地化は管理者の熱量に左右されます。ダム管理者が地元民の要望に対し柔軟になっていただきたい。ダムは最初に就いた管理者の手段に倣いがちですが、状況に応じて変えていけばいいと思うのです」

薗原ダム(群馬県、撮影・提供:宮島咲氏)

 ――行政への要望は。

 「まず、政府が既存ダムの洪水調節機能強化(事前放流など)を積極的に推進して下さったことに感謝します。要望としては、ダム観光が地元に還元される仕組みづくりをお願いしたいです。予算を出した後を考えてほしいと思います。私たち民間人は、観光客にお金を落としてもらうことで商売が成り立ちます。インフラツーリズムなど、地方に人を呼ぶ契機となる取り組みを生かして、ダム以外の観光も誘引し、お金を落としてもらえる仕組みが必要不可欠です。とはいえ、かけた予算の分だけ地域が良くなるわけではありません。新設ダムにたくさんの地域振興予算を付けたとします。完成直後はたくさん人が来訪するかもしれませんが、時を経るにつれ人出は減ります。隆盛期とのギャップが大きいと反動も大きく寂れてしまいます。長年にわたって地元に利益を生み出せる持続可能なシステムが必要です」

 ――宮島さんにとってダムとは。

 「自分の生命を支える、なくてはならない存在です」。

 ◇三州家のダムカレー◇

A式(アーチ式)
カレールーの圧力をお米の両側と皿底に分散させ支える構造。
横から見るとアーチ状でG式より堤体の幅が薄い

 宮島さん自身が経営する老舗料亭「割烹三州家」と「レストラン三州家」で初めてダムカレーを提供したのは2007年7月。2007年4月に開かれたダム活性化を図る会議で、ダムカレーによるダムPRを提案した。あるマスメディアが取り上げたところ、ダムカレーを求めて人が訪れるようになった。

 「仕方なく始めたのです」と宮島さん。当初、店頭に出す構想はなかったが、足を運んでくれるダム好きたちのために、隠しメニューとして提供を始めた。

G式(重力式)
カレールーの圧力をダムの重さで支える構造。
堤体は横から見ると三角形になっている

 宮島さんはダムカレーを、カレーではなくダムそのものだと説明する。「これはダムそのもの。米は堤体、ルーは貯水池です。本物のダムと同様、眺めて、構造の美しさを堪能してください。〝ついでに〟食べることもできます」。

 主な提供ダム型式はアースダム、アーチ式、重力式、ライスフィル(ロックフィル)だが、すべての型式の「施工」に対応しているそう。施工者は宮島さんだけなので要予約だ。

R式(ライスフィル)
カレールーをせき止めるお米(コア)を芯とし、ルーの
圧力を受け止めるお米(ロック)も配置した

 (みやじま・さき)東京都内の老舗割烹料理店・割烹三州家5代目。日本ダム協会認定元ダムマイスター。28歳で脱サラしダム巡りを開始。2002年、ウェブサイト・ダムマニア開設。現在はダムPR事業を展開し、ダムファンの拡大に尽力している。一番好きなダムは奈良俣ダム。