2021年12月14日火曜日

【記者手帖】生活の変化と悩み

  記者は日頃から世の中にアンテナを張り、情報感度を高めなければならない。先輩記者から口酸っぱく言い聞かされた心掛けだ。ただ3年前に子どもが生まれ父親になってから、極端に言うと興味の中心は子どもになり、世の中の動きにすっかり疎くなってしまった◆記者として由々しき事態である。付け焼き刃で情報を仕入れるも、取材相手との応答に付いていけず愛想笑いで返すこともしばしば。それでも記事の質は落とせない。大いに反省し、うな垂れて帰宅することが増えた。ところが帰ってしまえばすべて忘れ、遊び、食べ、ふろに入って寝る。能天気なものだ◆幼児の目線で生活していると、これまで目に付かなかったものがこんなにも多かったのかと驚く。都会のどぶ川に咲く草花、遠くに聞こえる虫の声、かすかに漂う季節のにおい。時の移ろいはあまりにも早い。そう気付いた瞬間、またも焦りがこみ上げ現実に引き戻されるのだが◆自分のアンテナは周波数が変わっただけで、まだ生きている。むしろチャンネルが増えたのだ。取材の幅を広げるチャンスと言い聞かせながら、今日も気持ちを切り替え仕事に向かう。(ぬ)

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