2021年12月22日水曜日

【回転窓】復興道路が全線開通

  「閉鎖系倫理意識」。東京大学名誉教授で医師の大井玄氏は自著『環境世界と自己の系譜』で、日本人の倫理観をこう表現している▼国土が狭く他に移住できない地域で、人口が多くても環境を破壊せず、平和に永続することを余儀なくされた時に育まれる倫理意識という▼深層心理の特徴は自己卑下的視点と他者とのつながりを求める傾向として現れる。つまり協調性だ。日本人は過去に何度も災害に遭い、そのたびに復興してきた。その時に「和」を重んじる行動の大切さを知らず知らずに学んできた▼東日本大震災からの復興の「リーディングプロジェクト」となる復興道路・復興支援道路が18日に全線開通した。沿岸部の縦1本と東北道を結ぶ横3本の道路(総延長570キロのうち、新事業区間224キロ)がわずか10年という短期間で完成した。異例のスピードで整備された背景には、一日も早く被災地を復興させたいという日本人の協調性があったからではないか▼大震災で多くの犠牲を払った。ただ、それを悲しみだけで終わらせてはいけない。この道路が被災者の方々の真の復興を呼び込む「みち」になってほしい。

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