2021年7月8日木曜日

【回転窓】二刀流の今昔

  江戸時代初期の剣豪として名高い宮本武蔵。二刀流(二天一流)の開祖として小説や映画、テレビ、漫画などにたびたび登場。世界で最も知られた日本の剣術家・兵法家の一人だろう▼創作されたエピソードも少なくないようだが、生涯不敗は伝説となっている。60余りの決闘では一度も敗れることなく勝ち続け、最後の決闘の場は山口県下関市の船島。その後、敗れた佐々木小次郎の剣の流派である巌流が島の呼称となった▼両手に1本ずつ刀を持って戦う二刀流だが、実際の戦場では必ずしも優位とは限らない。武蔵が書き残した兵法書『五輪書』でも、片手で不十分な場合は両手で太刀を持って仕留めればよいとしている▼大小2本の刀を帯びる武士ならばその利点を生かし、戦いで使えるものはすべて使う。二刀流の道を究めようとしながらも、実戦ではこだわらないという武蔵のリアリズムがうかがえる▼米大リーグにも武士がいる。投打の「リアル二刀流」で大活躍の大谷翔平選手(エンゼルス)が、来週のオールスター戦に史上初の二刀流プレーヤーで出場する。名選手たちとの真剣勝負に勝利する姿をぜひ見たい。

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