開会式を目前に控え、東京都内では交通規制が始まっている (青山二丁目交差点付近、20日撮影) |
東京五輪の開会式を目前に控え、首都圏での工事調整が本格化している。円滑な大会運営に向けた交通混雑緩和が目的。公共発注者は工事の着手時期の変更や一時中止といった施策を展開し、民間にも工事抑制を働き掛けている。工事車両の流入を抑えるため、国と自治体、民間の発注機関が連携。スムーズな大会運営に向け万全な体制を敷いている。
関東地方整備局は管内1都4県の直轄工事約240現場を対象に工事調整を実施している。大会関係者の移動が本格化する19日から開始。8月9日まで体制を維持する。パラリンピック開催期間の同24日~9月5日も工事調整を実施する。
競技会場周辺の混雑を避けるため、受注者と協議したり、発注時期をずらしたりなどし、会場周辺の工事着手と大会期間が重ならないよう準備。工事調整の担当者は「大会延期を含めた2年間で万全の体制を整えた。問題なく工事調整は進んでいる」と現状を説明する。
事故などが原因による突発的な渋滞発生に対応できる体制も構築。道路管理者や交通管理者との連携組織を設け、道路状況の情報共有に努めている。交通に支障があった場合、速やかな対策の立案に生かす。
東京都は19日から都発注工事で工事調整期間に入った。2月28日時点で契約していた工事のうち対象は1579件に達する。大会を成功に導こうと、各局が一丸となって工事搬入の時間帯やルートの調整などに取り組んでいる。今のところ大きな混乱は出ていないが、オリンピック・パラリンピック準備局の担当者は「緊急性の高い工事で新たに協議が必要になる可能性はある」と予想する。
現場ごとの詳細な調整は工事を所管する各局に委ねている。「ロードレースの沿道の道路工事を休止する」(建設局)、「職員の出勤時間を早く設定している」(港湾局)、「臨海部を中心に搬入ルートに配慮している」(住宅政策本部)など、各局とも万全の体制を敷いている。
開催の1年延期は「調整対象が増えた」(建設局)といった影響を及ぼした。だが「開催がいつになろうと計画を基に着実に工事に取り組む」(水道局)といった理由で、大きな変更なく各局は工事を発注している。一方で「周辺への騒音を考えると夜間に工事を切り替えられない」(同)と対応に苦慮した声も。調整期間は9月5日のパラリンピック閉会まで続く。受発注者の継続した連携が重要になる。
インフラ関連企業は、関係機関から工事抑制の協力を求められた。東京電力パワーグリッドはメンテナンスなどの工事計画を調整。競技会場周辺や選手村周辺などへの電気供給に影響する地域や緊急対応を除いて、道路占有を伴うような工事を抑制する。東京ガスも路上工事の時期を調整してきた。大会関連施設へのガスの安定供給と保安の確保を目的に、必要な対策工事は前倒しで行った。
発注機関と調整・協議を重ねてきた東京建設業協会(東建)は「東京五輪に最大限協力したい」(幹部)とし、期間中の交通規制などに協力するとしている。
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