香川県が高松市塩江町に建設していた「椛川(かばがわ)ダム」が竣工した。建設事業の着手から四半世紀。降雨量が少なく、深刻な水不足に見舞われてきた市内の新しい水源となると同時に、椛川を含む香東川流域の洪水被害を低減する。堤高88・5メートル、堤頂長265・5メートル、堤体積約43万5000立方メートルの重力式コンクリートダムで、総貯水容量は約1056万立方メートル。堤高と貯水容量は県内最大規模となる。本体工事の施工は大成建設・飛島建設・村上組JVが担当した。
香川県と香川県広域水道企業団は27日、ダム右岸湖畔広場で竣工式を開いた。地元選出の国会議員と県議会議員、市議会議員、施工者、地元関係者ら約60人が出席した。浜田恵造知事は「渇水や洪水に対し県民の皆さまの安全・安心に大きな役割を果たし、末永く多くの人々に親しんでほしい」と述べた。
大西秀人高松市長は「新型コロナウイルスが全国的に拡大する中、予防対策を徹底し無事工事を完成させてくれた」と工事関係者の労をねぎらった。来賓の丹羽克彦四国地方整備局長は「激甚化・頻発化する自然災害から地域の皆さまの命と暮らしを守るためにはハードとソフトの治水対策、利水対策に取り組むことが必要だ」と国土強靱化の必要性を訴えた。
香川県の生田幸治高松土木事務所長が工事経過を報告。出席者の代表によるテープカットとくす玉開きで竣工を祝った。
同ダムは洪水調節や水道水の供給、流水の正常な機能の維持、異常渇水時などの緊急水補給を目的とした多目的ダム。1996年度に建設事業がスタートした。2014年10月に本体工事に着手し、20年7月末にコンクリートの打設が完了した。
3月から試験湛水を開始した。貯水量は27日時点で約280万立方メートル(貯水率約27%)と順調に湛水が進んでいる。約3年をかけて貯水池の最高水位まで水を入れ、安全性を検証した後、通常運用に移行する。高松市に最大で日量9000立方メートルの水道用水を供給する。総事業費は463億円。
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