2021年7月14日水曜日

【回転窓】災害復旧と利他行

  仏教に「利他行」という言葉がある。土木の原点という意味で使われることもあるので、ご存じの方も多かろう▼自分のことよりほかの人を助けることを優先する行いのこと。奈良や平安、鎌倉時代などに全国各地でため池などの土木事業を行った行基や空海、一遍などの活動はこの利他行の教えが背景にある▼瀬戸内寂聴さんは東日本大震災後に被災地で懸命に奉仕するボランティアを見て「忘己利他(もうこりた)」という言葉を思い浮かべたという。己を忘れて人のために尽くす。この教えは日本人に脈々と受け継がれている▼先週末から30度を超える猛暑と突然の雷雨が関東地区を襲う。土石流災害を受けた静岡県熱海市では天候不順の中で、泥水混じりの土砂をかき出し、行方不明者の捜索作業が続けられている▼9日付の読売新聞社会面には自衛隊や警察だけでなく、地元建設会社の人たちの活躍ぶりが伝えられていた。これまで被災地で建設会社が献身的な活動しても報道されることはほとんどなかった。やっと紹介されたという思いと誇らしさを感じた。建設専門紙として、建設会社の奮闘をより伝えなくてはと思う。

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