取材で靴が泥だらけになったまま建設業団体の拠点に立ち寄ったところ、「ありがとうございました」と温かく迎えてくれたことがある。2014年8月の広島市。記録的な大雨で大規模な土石流が同時多発した被災地からの帰りだった▼公共工事を中断して応援に入った建設会社などが懸命に復旧作業に当たっていた。まもなく7年を迎える。被災地は治山治水施設の整備が進んだが、いまだ立ち入りが制限される地区もある▼静岡県熱海市の土石流災害から1週間が過ぎた。スマートフォンからであろう黒い山津波が家屋や車を押しつぶし、消防関係者が緊急避難する映像の衝撃は脳裏に焼き付いている▼現地は行方不明者の捜索とともに生活再建の一歩となるインフラの復旧作業が続く。今週も雨予報が並び、多くの人が不安な日々を過ごす。被災者が安心できる日が早く訪れ復旧工事の担い手が安全にと願わずにいられない▼被災者の支援と心のケア、復旧と復興、次の被害を防ぐ対策など、必要な対応は枚挙にいとまがない。責務と役割を自覚し遠くからも、被災地からも建設関係者の取り組みを正しく伝えねばならない。
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