2016年8月26日金曜日

【治水施設が効果発揮】関東整備局、台風9号被害で応急復旧に全力

外郭放水路に流れ込む雨水=23日午前11時30分ころ
(提供:関東整備局)
関東地方整備局は、22日に関東地方に上陸した台風9号に伴う降雨への対応状況(24日午後6時30分時点)をまとめた。東京都で3回、埼玉県で2回の記録的短時間大雨情報が発表されるなど各地で大雨となり、直轄国道では、のり面の崩壊や橋台護岸の流失が確認され、応急復旧作業を行った。関東整備局管内では、崖崩れによる西武多摩湖線の脱線や、床上浸水被害なども発生した。一方で、ダムや放水路、多目的遊水池などの治水施設が被害の拡大を食い止めていたことも分かった。

 直轄国道では国道1号箱根新道の下り部分で22日午後2時30分ごろにのり面が崩壊。同日午後8時すぎにブルーシート養生による応急処理が完了し、翌23日午前9時30分からは大型土のう積みによる応急復旧を進めている。国道16号では、埼玉県入間市にある高倉橋の橋台護岸が流失。23日午前8時10分ごろに被害が確認され、同日午後6時に応急復旧工事を開始。午後11時30分に応急処理を完了させた。25日も復旧作業を進めている。

 治水施設の稼働状況を見ると、鶴見川多目的遊水池では約42万立方メートルの洪水を貯留した。遊水池が無かった場合は、鶴見川で氾濫危険水位を上回り、横浜市と川崎市で避難勧告が発令される恐れがあったという。

 利根川水系でも、首都圏外殻放水路で218万1000立方メートルを排水するなどの対応を実施した。那珂川・綾瀬川流域では、降雨の約16%を排水機場のポンプで強制的に流域外に排出したという。約1・3万戸が浸水した1979年10月の台風20号と比較すると、降水量は約1・1倍と多かったが、今回は浸水戸数が63戸にとどまった。

 相模原水系の宮ケ瀬ダムでは、東京ドーム13・4個分となる約1662万立方メートルの洪水をため込んだ。仮に同ダムが無かった場合には、氾濫危険水位を上回り、洪水被害が起きる恐れもあったとしている。

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