建設業の生産性向上にあらためて効果が期待されているプレキャスト(PCa)化-。日本で注目されたのは古く、1951(昭和26)年5月11日付の本紙「社説」は「建設近代化の一課題」として取り上げている▼戦後、日本でもPCaコンクリートが建設部材として広く使われ始めたものの、コンクリートは現場で打つのが常識の時代。同じころに欧米ではPCaコンクリートの普及が著しく、機械化とはむしろPCa化を表すものであったという▼この違いの一つの原因は何か。社説は、道路こそPCaコンクリートで造るべき「第一のもの」に挙げる一方、日本で普及の妨げになっているのが皮肉にも道路そのものだと指摘している▼大型PCa部材を工場で製造しても、道路事情が悪くて運搬に手間取っては意味がない。その改善を求めつつ、〈いつまでもモッコとつるはしによるエジプトのピラミッド建設時代と同じような工法では近代文化など叫ぶのもおかしい〉と手厳しい▼きょう10日は「道の日」。60年以上前と道路事情は様変わりしたが、暮らしや生産に道路が果たす役割の大きさは変わらない。
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