2016年8月31日水曜日

【建設業の心温まる物語】小池組(和歌山県)・種治勇基さん

 ◇感謝状は私の大切な宝物◇

 入社して3年目、事務所ビル新築工事の現場での出来事です。その現場は、既にある工場内の敷地に建築する工事で、いつもお客様から見られている現場でした。そのため「工場従業員の安全にはくれぐれも注意するように」と言われていました。私は、どうすればお客様に迷惑をかけずに工事を進めることができるのだろうと考えました。しかし、いくら考えてもまだ経験の浅い私にはよい案は浮かびません。考えた結果、自分のできることは元気に挨拶することしかない、と思いいたりました。

 毎朝出勤してくる工場の従業員の方に「おはようございます」、帰宅時には「お疲れ様でした」と精一杯の笑顔で挨拶をしました。さらに他にできることはないかを考え、敷地内を毎朝掃除しました。最初は怪訝な表情だった工場従業員の方々も、しばらくたつと、「おはよう」と返してくれるようになりました。

 そしていよいよ竣工を迎え、引渡しの日がやってきました。式の最後にお客様が「感謝状」を読み上げられました。「無事故で、素晴らしい新社屋を完成していただき感謝しています。また、種治君の毎朝の挨拶で元気をもらい、清々しい気持ちで毎朝出勤することができました」という内容でした。思わず涙がでそうになりました。お客様が挨拶や掃除する姿を見ていてくれたんだ、と思うと胸がいっぱいになりました。

 その感謝状は今でも私の大切な宝物です。感謝状を見直すたび、初心に返り、気を引き締めて工事を施工することができます。

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