2016年8月1日月曜日

【私の作った土が支えている】建設業の心温まる物語・6-成和建設(岩手県)・伊藤憲正

 岩手県花巻市にある私立高校の野球部から野球場整備の依頼がありました。その高校は、岩手県大会では強い方でしたが、甲子園に出場する回数は多くはありませんでした。

 野球場の外野グランドには暗渠排水が露出しており、練習するにはとても危険で、気の毒にも感じる状態でした。野球部監督さんの強くなりたいという熱意を感じ、地元高校の野球場整備をやってあげたいという気持ちから工事を引き受けることにしました。

 しかし野球場を整備するための予算は多くはありません。そのため透水性と弾力性に優れるチャンピオンサンドを利用することができません。なんとか良い土を作れないかと考え、滝沢の火山灰をベースとして自分達で混合してみました。失敗しながらも繰り返し、繰り返し土作りをしているうちに、ようやくチャンピオンサンドに負けない土を作ることができたのです。

 工事は無事に予算内で完成し、選手たちは元気にけがを気にすることなく練習ができるようになりました。

 翌年のこと、その高校は甲子園春の選抜大会に出場することができました。そしてなんと準優勝したのです。私は自分のことのようにうれしく思いました。

 その後も好成績を上げるようになりました。この高校は、のちに菊池雄星選手や大谷翔平選手を輩出した花巻東高校です。そして私も、花巻東高校の卒業生です。

 彼らがプロ野球で活躍するニュースを聞くたびに、自分たちが行った野球場の土作りのことを思い出し、誇らしく思います。

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