◇恵まれている小さな課◇
中学校を卒業した直後、東日本大震災が発生し、当時住んでいた八戸市の港や海岸線も津波被害を受けた。5年後の今、東北地方整備局仙台河川国道事務所の海岸課で仙台湾南部海岸の堤防復旧工事を担当し、技官1年生を勤めている。「海岸課」が組織されているのはこの事務所だけであり、海岸堤防復旧という仕事は鈴木さんの天命のようにも感じられる。
「この課は配置人数も少ないので、どんどん仕事が回ってきます。高専(八戸工業高等専門学校)で学んだ専門用語が、まだ単なる知識でしかないなあと痛感しました。だから会議でも打ち合わせでも、聞き取りに必死の毎日です。でも、私の意見がすぐに課内の上司まで伝わるという職場環境は、恵まれているのではないでしょうか」
震災の経験も進路に多少の影響を与えているが、もともと「何か、ものづくりをやってみたいと思っていました。水辺で遊ぶことが好きだったので、国土交通省の入省時には河川を志望しています。河川・海岸の仕事にも護岸の植栽設計など任せてもらえる分野があるので、頑張り甲斐があります」と熱意をみせる。
子供たちの現場見学会が企画されると、事業説明を作成し居残りで暗唱練習する。それもルーキーの務め。徹夜が疲れないはずはないが、はつらつと現場を案内する。
(海岸課技官、すずき・なち)
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