2016年8月19日金曜日

【もっと楽に、自由に、大胆に】ものづくり・匠の技の祭典、左官職人・挟土秀平氏が開幕イベント参加

 「ものづくり・匠の技の祭典2016」の関連イベントとして、9日に東京・有楽町の国際フォーラムで行われたパネルディスカッションと、10日の開幕イベントに、カリスマ左官職人の挟土秀平氏(職人社・秀平組代表)が登場した。

 挟土氏は「伝統と革新の両立」をテーマに「職人は守るべき点と、現代風にアレンジする点を使い分けるべきだ」と現代の匠の仕事のあり方を語った。

 パネルディスカッションで挟土氏は、「日本の職人は緻密にしっかりと作るところがあるが、今の時代は人によって流れている時間がまったく違う。考え方を変える必要もある」と指摘。具体例として、東京でテナントの象徴となる壁をつくる場合、「『この店は15年程度で改装するだろう』と考えてしまう。日本の職人が積み重ねてきた技能は100年をターゲットにしている。15年でよいと考えれば、クリエートできるチャンスが増える。本当に良い家を造りたいという人に出会えば、100年でものを考える。めりはりができて職人の領域は広がる」と持論を展開した。

 その上で「昔の職人も同様の考え方を持っていた」とし、実例を挙げながら「職人は相手や場所によってもっと楽に、自由に、大胆なことをやってほしい」と述べた。

 開幕イベントでは「何百年も続いてきた技がある。文化財として保存するものは決してアレンジしてはいけない。昔の人が寸法を間違えていたと分かっても、そのまま修復する。しかし、現代の都心の一等地にあるホテル、飲食店のラウンジであれば、使われ方を考え、その雰囲気にマッチするものを工夫するべきだと思う。職人はきっちりと譲らずに守るべき点と、現代が匂うように工夫を凝らす点を使い分けるべきだ」とあらためて強調した。

 さらに「葦(あし)でも、和紙の楮(こうぞ)や雁皮(がんぴ)でもそうだが、素材を育てる人、素材を保存してくれている人、素材を吟味してくれる人が消えると職人も駄目になる。彼らに目を向けることが大事だ。職人の素材を守らなければいけない」と締めくくった。

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