◇日本代表する建築家の「作品」を間近で◇
東京都品川区に、建築模型ばかりを展示する国内唯一のミュージアム「建築倉庫」がオープンして、1カ月余が経過した。
館内には、坂茂氏や隈研吾氏、青木淳氏など日本を代表する建築家のアイデアが詰まった建築模型がずらりと並ぶ。収蔵点数は128点。来館者は、それらの模型をじっくり眺めたり、写真に撮ったり、思い思いの過ごし方ができる。
当初は、年間2万人程度の来館を見込んでいたが、オープンから約1カ月で既に5000人以上が来場する好調な滑り出しとなっている。
ミュージアムを運営するのは、倉庫業を長年営んできた(東京都品川区、中野善壽社長)。同社は、これまでにも収蔵品を保管するだけでなく、後世に伝えるための文化発信事業を行ってきた。ミュージアムのオープンを記念して開かれたパーティーで、中野社長は「われわれの仕事は保存業。そのままでは無くなってしまうかもしれない物を次世代につないでいくことができればうれしい」と語った。
建築物の設計段階で作られる建築模型は、一般の人の目に触れることはあまりない。これを展示すれば面白いのではないかと考えたところから事業はスタートしたという。
徳永雄太館長は「人々に公開することで、建築模型は日本の誇るべき作品なんだという新しい見方を生み出していきたい」と話す。ミュージアム開設に当たっては、それぞれの建築家が保管している模型を展示させてもらいたいと、同氏が一人一人に説得して回ったという。
同館では、展示方法にもこだわっている。「収蔵庫そのものを展示する」というのが、同館のコンセプト。来館者がさまざまな角度から自由に見ることができるように建築模型を展示している。
作品についての説明文も最小限に抑えた。詳しく知りたい場合は、模型の近くに設置しているQRコードから情報にアクセスできるようになっている。
◇開館1カ月で5000人超迎える◇
徳永館長によると、来館者はそれぞれの見方で作品に接している。例えば、建築に関わりのある人は、模型に込められたアイデアに注目する。一方、一般の来館者は、子どものころに模型やプラモデルを作った体験を思い出しながら楽しむこともあるようだ。
「来館者には自分の頭で考えることをしてほしい。建築模型には、建築家のさまざまな工夫や想像がめぐらされている。それを見ることを通じ、想像力を働かせることの大切さを学び取ってもらえれば」と話す。
「(建物が)小さいからこそ、建築家のアイデアがふんだんに詰め込まれている」。そうした思いもあるという。住宅などはその好例だ。模型を通じてそうしたアイデアを想像し、味わうこともできる。今後は、住宅などの模型の収蔵にも力を入れていく方針だ。
場所は東京都品川区東品川2の6の10。開館時間は午前11時~午後9時。休館日は月曜(月曜が祝日の場合は翌火曜)。入館料は一般1000円、高校生以下500円、未就学児は無料。詳細はホームページへ。
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