◇達成感が味わえる仕事◇
大学進学時に建築学部を希望していたが、合格したのは工学部土木工学科だった。「土木の世界がどのようなものか、全く知識がないまま大学に入学したのですが、土木は“土”や“コンクリート”だけでなく、水や各種の構造物など幅広い世界がありました」。
02年に大学を卒業し、建設コンサルタント会社に就職。橋梁の新設や耐震補強などの業務に携わり、その5年後に今の会社に移った。現在、橋梁だけでなく、土木構造物全般の耐震診断やその補修・補強方法などの提案・設計、構造計算などを担当。セールスエンジニアとして営業もこなす。
「耐震補強を提案するには、新設を設計する以上にいろいろな知識が求められます。特に古い構造物は複雑な構造も多く、どのような補強方法が良いのか悩みます。その際、感心するのはこんな複雑な構造計算を、昔の技術者はよく手計算で行っていたなということ。それに比べると、まだまだ勉強が足りません」
建設コンサルタント会社は納期に追われ、夜遅くまで仕事をしなければならないこともある。それでもやりがいのある仕事だという。
「苦労して提案した工法が採用され、それが実際に施工されると喜びを感じます。現場にいくチャンスはあまりないのですが、施工後の写真などを見せてもらうと、この仕事をして良かったという達成感があります」
現在の会社に入社後すぐに結婚し、出産した。1人息子は今年、小学1年生になる。「子どもが小さい時は大変でした。子育ても仕事も両方が中途半端な感じで、私はいったい何をしているだろうと何度も考えた」。そのたびに家族や上司、同僚が励まし、助けてくれた。
こうした悩みを抱える女性技術者は多い。「仕事と子育ての両立は難しいものです。ただ、そうした人たちには“その辛さは永遠には続かない。もっと力を抜いていいよ”と声を掛けてあげたい」。自分の経験から、子どもの成長とともに、その辛さも和らいでいくものだという。
趣味は旅行。家族で知らない土地に出かけるのが楽しいという。「子どもがもう少し大きくなったら黒部ダムを見せにいきます」。
(技術部課長、かわせ・ひとみ)
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