夏休みを終え、きのうから平常勤務という方もおられよう。お盆には、帰省した実家の仏間でご先祖の遺影と久しぶりに対面した方も多いのでは▼昨今は、死後に飾る遺影を生前に自ら用意しておく人も少なくないようだが、遺族が葬儀の前に近影を選ぶことも多いだろう。故人も気に入るよう、できるだけ表情も写りも良いものをと考えるのが人情だが、あいにく適当な近影が見当たらないこともある。高齢で長く寝込んだ人などはなおさらであろう▼近影でない場合、遺影の若返りはどこまでなら…。作家の嵐山光三郎さんが先日、雑誌の連載で〈遺影として使っていい許容範囲は10年から15年前ぐらいでしょう。70歳をすぎたら一律20%オフのサービスとする〉と持論を書いていた(週刊朝日「コンセント抜いたか」)▼新聞も著名人の訃報に付ける顔写真の確保に苦労することがある。当方もできるだけ良い表情をと考えるのだが、特に高齢の方は随分以前のインタビュー写真しか手持ちがないことも▼嵐山さんの言う「許容範囲」はなかなかいい線かもしれない。そんなことを考えながら仏壇に手を合わせた。
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