生産年齢人口の減少に伴い、労働集約型産業である建設業では調査・測量、計画・設計、施工、維持管理までの一連の建設生産サイクルのあり方を抜本的に見直すことが求められている。国土交通省が推進する建設現場の生産性向上策「i-Construction」を踏まえ、最先端のテクノロジーを取り入れながら生産効率を高める動きが活発化。建設技術・システムの開発に取り組む民間各社は業務の効率化、作業時間の短縮など、現場の生産性向上に寄与するものづくりに一段と力を入れる。
測量分野を中心にドローンの普及が進む |
トランシットを使った三角測量や多角測量など従来の測量手法は作業時間や手間がかかる。人材の不足感が高まる中、より効率的な測量手法が求められている。そうした状況下でドローンの活用が急速な広がりを見せている。有人ヘリコプターなどを使う測量に比べ、ドローン測量は短時間かつ安価に行えるのが特長。被災地や危険区域など人が立ち入れない場所でも実施できる。国土地理院が昨年10月に行った調査によると、民間測量会社の3割がドローンを保有し、現地調査などに使用しているという。
ドローンに搭載されているカメラは市販のデジタルカメラが多く、高精度な測量を行うためには撮影精度の向上や画像処理の高度化が重要になる。ドローンを使った測量サービスなどを展開するテラドローン(東京都渋谷区)の開発担当者は「今後はカメラメーカーとの共同開発を検討していく」と話す。
◇ドローン活用し省力化推進◇
ドローン測量の導入に向けた建設関連各社の動きも活発だ。関連メーカーなどと連携しながら、ドローンで撮影した写真から高精度な3次元(3D)図面を短時間で作成し、大規模造成工事の進ちょくや土量管理に利用したり、盛り土や切り土量などを自動的に計算したりできるシステムを開発。ドローンによるレーザー測量の実用化、既存の現場管理システムとドローン測量の融合など、実現場への本格導入が順次進められている。
テラドローンの担当者は「飛行テストを実際の現場で行い、現場の声を取り入れながら機体開発を行っている」と説明。現在は風速5メートルを基準に飛行の可否を決めているが、将来的には「どんな天候でも飛ばせるような機体を作りたい」としている。
ドローン測量に関連した独自サービスを提供する企業の動きも目立つ。ドローンで撮影した画像から、インターネット上に開設した「3次元空間解析クラウド」を介して3Dデータ(3D点群、オルソ画像、等高線など)を作成・提供するサービスを開始したのは国際航業。専門性の高い3Dデータの解析・処理業務のアウトソーシングを図ることで、ドローン測量の導入を考える事業者の初期投資を減らせるとしている。
同社とアクティオ、測量機器メーカーのニコン・トリンブル(東京都大田区)の3社は、ドローン測量のほか、より広い範囲の測量に適した航空機によるレーザー測定、人工衛星を利用するGNSS(全地球航法衛星システム)測量、車で走りながら3D測量を行うモービル・マッピング・システム(MMS)といった計測メニューをそろえ、新たな3D計測サービスに乗りだした。構造物の建設や点検管理などのICT化に向けた現場ニーズに幅広く対応していく。
◇ソリューション技術で差別化◇
「Nivo- i」による計測作業。 コンクリート構造物のひび割れが自動検出・測定できる |
現在はテストマーケティングを通じて現場ニーズの把握とPR活動を続けながら、さまざまな現場を支援するアプリケーション・ソフトの拡充に取り組んでいる。同社の開発担当者は「空中のドローン技術と、地上計測のソリューション技術を組み合わせ、事業領域を拡大していきたい」と意気込みを語る。
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