第59次南極観測隊の夏隊に参加した飛島建設首都圏建築支店の近藤一海氏(写真左)が、昨年12月から今年2月にかけての任務を終え帰国した。
同社が南極観測隊に隊員を派遣したのは近藤氏で18人目。現地では基本観測棟の建設、次の南極観測隊の作業に向けた準備などを行った。帰国した近藤氏は「予定していた作業がほぼ100%達成でき、大きな災害もなく帰国することができてほっとしている」と笑顔を見せた。
メイン作業である基本観測棟建設のほか、▽配線配管架台工事▽倉庫棟南面外壁工事▽コンテナヤード整備▽コンクリートプラント運用▽HFアンテナ基礎改修-の五つを実施した。
工事に使用するコンクリートは現地で製造。日本から運搬した材料はセメントだけで、プラントの周辺にある砂を手作業で運搬し、池からポンプで水をくみミキサーで練った。「とても原始的な作業だったが、型枠がきちんと取れた時はうれしかった」と振り返る。
現地での作業は常に天候に左右された。天候が良い時の気温は5度程度と過ごしやすいが、風が吹くと状況は一変。風速が秒速10メートルに達するとクレーンの使用を停止し、秒速30メートルを超えると外出は禁止され、作業も中止になった。大きなブリザードで材料が雪に埋もれたり、足場が崩れたりするトラブルにも見舞われたという。数日作業できない日もあったが、隊の建設担当以外のメンバーも手伝ってくれ、総力を結集して取り組んだ。
今回の南極観測隊で驚いたのが「研究者の探求心」だったと近藤氏。「社会のために研究するという熱意に圧倒された」と話す。南極観測隊には研究者の他にも調理隊や医師などのさまざまなメンバーが参加。「たくさんの人にお世話になった。機会があればまた参加したい」と振り返った。
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