2020年東京五輪のメインスタジアムとなる新国立競技場の建設現場で、そのデザインを特徴付ける木架構の作業が始まった▼オール日本を象徴する施設とするため外周のひさしや軒、屋根の部分に47都道府県産の木材を使い、神宮外苑の森に溶け込んだ「木と緑のスタンド」を表現する▼設計した建築家の隈研吾氏は「日本の伝統の建築を現代的な形で表現した」と話す。環境共生、景観配慮という理念を意匠に織り込むこだわりは、日本人の優れたところとして海外からも評価が高い▼新国立競技場の木架構の作業と歩調を合わせ、政府は国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産に、宮大工などが継承する「伝統建築工匠の技」を提案した。日本の現代建築にも使われる技の集大成がここに詰まる。「伝統建築工匠の技」のユネスコ登録の決定可否は20年末。一足先にお披露目される新国立競技場の評価はまさに試金石になる▼新スタジアムではずみを付け、ユネスコ登録で技術の高さをアピール。政府が描く建築分野を対象にした輸出戦略の筋書きだ。現代の匠(たくみ)が振るう技とその仕事ぶりに期待したい。
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