道路舗装各社が女性社員の採用拡大に向けた取り組みを強化している。就職説明会で応募を積極的に呼び掛けたり、地域限定職種の採用人数を拡充したりなど、女性社員の採用に前向きな姿勢を見せている。
ただ各社の取り組みとは裏腹に、採用数は伸び悩んでいるのが実態。業界、個別企業に興味を持ってもらい会社訪問や採用試験に導き、入社後に戦力として活躍してもらう環境を整えるには、もう少し時間がかかりそうだ。
日刊建設工業新聞社が道路舗装大手8社を対象に行ったアンケートによると、今春(18年4月)の新卒社員数のうち、女性社員の入社実績は36人と前年(40人)を下回った。8社中4社が今春の新卒採用で女性の採用を「増やした」、残りの4社が「横ばいだった」と回答した。採用数が最も多かったのは大林道路とNIPPOの8人。NIPPOは来春(19年4月)の新卒採用で、回答があった3社中最も多い10人の女性採用を計画している。
女性の採用拡大に向けた取り組みを見ると、「女性専用の求人票を持って各学校へ継続的にPRしている」(NIPPO)、「就職説明会で女性の応募を積極的に呼び掛けている」(前田道路)など、会社や仕事の内容、魅力ややりがいを積極的にPRする動きが目立った。
世紀東急工業は「女性技術者を2人以上採用する」という数値目標を設定し採用活動を展開している。昨年、今年と4人の女性社員を採用した東亜道路工業は「採用は性別に関係なく適性で判断している」とした上で、「数年前から女性の採用に向けたPRに取り組んでおり、近年実績が伴い始めた」と効果を実感している。
採用後の定着も重要になる。各社は出産などライフイベントを理由とした離職を防ぐ目的で「時間短縮勤務の拡充」など、働き続けることができる職場づくりに取り組んでいる。
改正育児・介護休業法では、時短勤務の利用期間を「子どもが3歳になるまで」と定めている。日本道路とNIPPOはこの制度を小学校入学まで利用できるよう、期間を延ばしている。鹿島道路は出産・育児休業などを終えて職場に復帰する場合、配属を原則「休業直前と同じ職場にする」規定を設けており、休業した社員のスムーズな復帰を促している。
大林道路は17年12月に「働き方改革推進プロジェクトチーム」を発足し、ワーク・ライフ・バランス(仕事と家庭の調和)の充実に向けた取り組みを本格始動させた。大成ロテックはマタニティーハラスメントなど、ハラスメント防止に向けた勉強会の実施によって、会社全体の意識向上を図っている。同社は17年度に初めて女性部長が誕生。「女性社員の働く意欲向上につながるのでは」と期待する声が挙がっているという。
建設業界全体で女性の活躍を後押しする動きが強まっている。ただ「女性専用トイレや更衣室などの設備が整っていないため、全ての事業所が女性を受け入れられる状況ではない」(大成ロテック)と現状を指摘する声もある。女性社員の採用・定着に向けては企業の規模や職場の状況などに関係なく、業界全体で理解の醸成が不可欠だと言えそうだ。
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