2018年4月16日月曜日

【熊本地震から2年】インフラ復旧が着実に進捗、見えてきた課題も

16年4月14日に発生した熊本地震から2年。「復興は道半ば」(西村博則熊本県益城町長)ながらも、国や自治体、建設関係業界の懸命な対応により被災したインフラの復旧・復興は着実に進捗(しんちょく)。民間住宅の建て替えや街づくりの取り組みも進展している。

 こうした中、自治体の工事発注・契約手続きをはじめ、浮き彫りになった課題は少なくない。被災地の現状、関係機関の取り組みなどをまとめた。

 熊本市内で「全壊」と認定されたマンションは19棟。うち5棟が立ち並ぶ団地で昨年末、建て替え組合が発足した。「7割以上の住民が戻る」と話すのは事業協力者で参加組合員の旭化成不動産レジデンスの担当者。「関係者の結び付きの強さ」が建て替えの原動力になったという。

 街づくりでは、甚大な被害が出た益城町で計画されている土地区画整理事業を同町に代わって施行する熊本県が9日付で、都市再生機構と技術支援に関する協定を結んだ。都市機構は復興に関し県内4市町と協定を締結済み。1日付で九州支社に「熊本震災復興支援室」を開設し、支援体制を強化した。

 石井啓一国土交通相は13日の閣議後の記者会見で、「道路や鉄道といったインフラの復旧・復興、暮らしの拠点である住宅の確保、地域の重要ななりわいとなる観光の振興など、復旧・復興に全力で取り組んできた」とし、引き続き生活再建や経済復興に全力で当たる考えを表明した。

 国と自治体の工事発注が集中することで懸念されたのは入札不調・不落の増加。国交省は熊本県の要請を受け、17年1月に一般土木工事の積算に復興歩掛かりと復興係数を導入。同年10月には復興係数を引き上げるなど、施工確保対策を講じてきた。県発注工事の入札不調は、17年度後半から20%を割った水準で推移し、一定の効果が表れている。
地震発生後、地元の建設会社は道路復旧などに奮闘した
今後、発注・契約手続きや工事着工が本格化するのは災害公営住宅だ。民間の建築工事も進む中、公共と民間で事業が重なり人材や資機材の確保が厳しくなるとの見方が広がっている。

 「民間工事を含めて注文が先々まで積み上がっている」。ある地域建設業関係団体の幹部は、被災地の現状をそう説明する。工期を順守する責任の重大さを痛感しているからこそ、受注を回避せざるを得ない事情が建設会社にはある。自治体発注の建築関連工事で、入札不調の発生が顕在化している。

 技術系職員が不足している自治体は多く、発注にこぎ着けても条件の不一致や設計変更の対処に追われている。国交省が17年7月にまとめた災害復旧の入札契約方式適用ガイドラインについて、自治体の実務に即した指針として再構成するよう求める声もある。災害査定を待たずに復旧を迅速に進める環境整備を望む意見は多い。3年目に入った復興は街づくりと同時に災害に備える取り組みが求められる。

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