首都高速道路会社は、2020年東京五輪中の交通需要の抑制に備え、今夏から全社的な交通需要マネジメント(TDM)の取り組みを始める。
7月22~26日に長時間の規制を伴う工事を中止し、湾岸線で予定していた鋼繊維補強コンクリート(SFRC)を用いた床版補強工事も延期する。全社員の3割以上が勤務時間を変えたり、休暇を取得したりする期間を設ける。五輪中の工事、業務の在り方も検討する。
TDMの実施は宮田年耕社長が21日の記者会見で明らかにした。来年の大会を見据え、取り組みは7月22日~8月2日と同19~30日を対象に実施。業務車両とレジャーに伴う利用者の車両が混在し、交通重要が高いと予測する7月26日は「重点取組日」として、職員に率先した対応を促す。
TDMの対象日は全社員の3割、重点取組日は5割が▽勤務時間を変えたスライド勤務▽休暇取得▽テレワーク-のいずれかを行い、スライド勤務は全社員が実施する。会議の開催、社用車の利用を控え、イベントや研修は対象日の前後にずらす。人やモノの移動の抑制につながるよう、水筒と弁当の持参を推奨し、広報物の納入時期も調整する。宮田社長は「五輪に向け、交通を担う機関として、交通量を減らしたい」とTDMに意欲を見せた。
工事を巡っては、東京都が大会中の路上工事を回避し、会場周辺や大会関連の輸送ルートのある地域で計画する工事の時期の調整、一時休止、夜間工事への振り替えなどを実施する方針をまとめている。
都内全域で工事車両を削減したい意向も示している。首都高速会社は五輪に備えた修繕工事や、清掃、標識の交換といった美化対応を急ピッチで実施中。大会中に予定する工事、業務でも一部は前倒しで着手するとともに、実施を五輪後にする検討も行っている。
点検をはじめ日常的な業務の実施を大会中に避けた場合、グループ企業や協力会社の事業量に2カ月ほど影響が生じることになる。そこで「場所、時間を慎重に検討」(宮田社長)しつつ、大会中の事業・業務の計画を練っており、大会への影響が小さい区間の洗い出しなどを進める方針だ。
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