国土交通省は、大型車両を対象にした東京都心部の環状機能確保策で検討状況を明らかにした。
首都高速道路の都心環状線と八重洲線を結ぶ「東京高速道路」(KK線)の別線を地下に新設する案とKK線の構造強化案を比較。別線は都心環状線と八重洲線を最短ルートで接続するために必要な地下空間が確保可能とした。
KK線の既存橋梁を強化・拡幅する場合、路線の構造や長い工事期間によって沿線地区の商業機能やにぎわいに悪影響を及ぼす可能性があると指摘した。
地下に別線を新設する場合のルート案は、既設の八重洲線を最大限活用し、外堀通りやKK線の下を通りながら西進。新富橋と三吉橋(いずれも中央区)の間付近で地上に出る。地下鉄との干渉を回避するため、最深部は地下20メートル強となる。国交省は、地下埋設物や都心環状線(築地川区間)の大規模更新事業などの計画に考慮しながら引き続き検討する必要があるとした。
KK線は構造上大型車交通を規制している。既存橋梁を活用する場合、耐荷重を現行の20トンから25トンへと補強する必要があり、補強工事費に加え維持補修費用の増加や、工事中のKK線下の商業施設テナント(約360店舗)からの収入減などが課題とされる。
拡幅については、拡幅部を支える新たな橋脚を商業施設前面の歩道に整備するため、歩道の有効幅員が減少する。歩道上への橋脚整備を回避するには、KK線と一体構造の商業施設などを含めた全面的な造り替えが必要となる。事業期間が長期化する見通しで、周辺のにぎわいや商業機能に悪影響を及ぼす懸念がある。
大型車交通の機能確保について、検討の契機となったのは都心環状線の日本橋区間(中央区)の地下化プロジェクトだ。同プロジェクトが始動すると、日本橋区間から都心環状線を通って汐留(港区)方面に向かう場合、江戸橋ジャンクション(JCT、中央区)を経由するルートが使用できなくなり、八重洲線やKK線を通行することになる。
KK線は八重洲線を介して1日当たり約8000台(うち大型車は約2000台)程度交通量が増加する見込み。その場合、舗装やジョイントなどの補修頻度が増加し、維持補修費用の増幅が予想される。そのため、KK線の構造強化と別線の新設の両面で機能確保策を検討することにした。
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