2019年5月16日木曜日

【厳しい条件を段取りで克服】関電工の南極観測隊員2人が帰国

ケーブル修理では正確を期すため素手で作業に当たった
関電工の社員が南極地域観測隊の任務を終えて帰国した。営業統轄本部施工品質ユニット技術企画部の内山宣昭氏(第59次越冬隊、2017年11月~19年3月)と、曽宮優一氏(第60次夏隊、18年11月~19年3月)の2人。ともに国立極地研究所(極地研)の要請で昭和基地の電気・空調設備の設営や保守管理などを担った。

 両氏は13日に東京都内の本社で記者会見した。内山氏は第58次夏隊(16年11月~17年3月)の参加経験がある。「この会社でしかできないことをやりたい」と2回目の参加を決意。「頑張って」という家族の言葉を励みに職務をまっとうした。曽宮氏は「先輩が行った観測隊に自分も参加したい」と考え、赴任を決めた。出発前は不安もあったが、交代の隊員との別れ際に号泣してしまうほど、思い出深い仕事になったという。

 現地では、観測拠点に設営する新しい観測施設の電気設備の施工や各種設備の保守・点検、太陽光発電パネルの更新をメインに担当した。南極では着雪が一晩で4メートルにもなるブリザードが吹き荒れた。極夜には寒さが厳しく1日2時間の作業が精いっぱいだったこともあった。分厚い手袋では難しいためケーブルを素手でまいたり、限りのある施工時間を有効活用するため段取りを工夫したりと、厳しいながらも貴重な時間を過ごした。

 「不慣れで着眼点の異なる仕事も経験した。後輩に知識を伝承し、今の現場に役立つことがあれば応用したい」と内山氏。曽宮氏は「(隊員同士の)コミュニケーションが大事だった。作業期間が限られた経験を生かし、段取りをしっかり行っていきたい」と充実した表情で今後の抱負を語った。

 同社は1986年の第28次観測隊から越冬隊に23回、夏隊に11回、社員を派遣している。現在は同本部施工品質ユニット技術企画部の松嶋望氏が第60次越冬隊に参加している。同社には、長年の功績がたたえられ、極地研から感謝状が贈られている。

0 コメント :

コメントを投稿