2019年5月16日木曜日

【施工は鹿島JV、12月開業へ】新潟県、謙信公武道館建設現場(上越市)を初公開

 新潟県がBTO(建設・移管・運営)方式のPFIで上越市内に整備している「謙信公武道館(新潟県立武道館)」の建設工事現場が14日、初めて公開された。

 北信越地域で最大規模の武道拠点となり、競技力の向上や地域の活性化に役立つと期待が集まる。設計・監理を松田平田設計が担当し、鹿島・高舘組JVが施工。12月の開業に向け、現地では内装をはじめ急ピッチで工事が進んでいる。

 計画地は上越市戸野目古新田375。北陸自動車道・上越インターチェンジ近くの上越総合運動公園内に位置する。事業主体は、鹿島、高舘組、松田平田設計、日本管財、シンコースポーツ、グリーン産業、NECキャピタルソリューションで構成する特別目的会社の「PFI新潟県立武道館サービス」。施設の設計と建設、所有権を県に移管した後の維持管理・運営を2034年3月末まで担う。

 ◇全国レベルの競技会拠点へ◇

 施設はSRC・S造2階建て延べ1万3035平方メートル。約146メートルの横長(縦約54メートル)で、高さは約16メートル。山城をイメージしたデザインで、雪景色と稲穂になじむ外観にしたという。屋根はフッ素樹脂鋼板で、一部に県産の「安田瓦」を用いる。大道場、小道場、近的・遠的の弓道場、相撲場、トレーニングルームなどがあり、大道場は柔剣道の公式戦を8面で行える。1000席以上の観客席も設ける。

 大道場は短辺が46メートルの吹き抜けの大空間となる。冬季に2・5メートルの積雪があった場合に、屋根は最大12センチたわむことになる。そこで床から9メートル以上の天井高が必要となる剣道の公式試合に対応できるよう、大道場の天井高は9・2メートルに設定した。

 大屋根は、鉄骨トラスの仮支柱を一斉に外す工法で施工した。周囲の地盤状況から大型重機の利用が難しく、現場を指揮する鹿島JVの倉嶋静夫所長は「施工条件を踏まえた最も経済的な施工計画を練り、(屋根の)作業を行えた」と手応えを示す。基礎には長さ56メートル以上の176本の杭を施工し、支持層までの到達を徹底して確認した。鉄骨製作は納品が遅れないよう4社に発注。製作図を巡る調整をきめ細かに行い、計画通りに鉄骨工事を開始できた。

 建物へのアプローチは、上杉謙信の居城があった春日山に向かって設ける。大道場2階の観客席からも春日山が望めるという。工事には延べ3・3万人が従事し、現場は28・5万時間以上の無事故・無災害を継続中。建物の出来高は76%に達した。倉嶋所長は「安全と品質に引き続きこだわり、無事故、無災害で竣工させたい」と語る。

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