◇地元と一体となったトンネル工事◇
高知県と愛媛県との県境でトンネル施工を行っていた時の話です。その道路は、車のすれ違いが難しい狭い道で、片側は山、もう片側は谷という地形で危険度が高く、地元の人が待望しているトンネル工事でした。とはいえ、工事が始まると土砂搬出のためダンプカーの往来が増え、騒音や粉じん被害が生じるため、苦情が来ないか心配しながら準備を進めていました。
ところが工事が始まると、地元の村の人が現場を通るたび、「今日はどれだけ掘ったの?」と聞いてきました。疑問に答えるため、入り口に大きく進捗(しんちょく)を掲示板として表示し、工事ニュースとして現場の話題を張り出すことにしました。
しばらくすると、多くの地元の方々がそこに集まり憩いの場所となったのです。そのためベンチを整備すると、現場と地元の人が交流できる場へと発展しました。
現場見学会を何回も開き、トンネル工事に用いるさまざまな機械の説明や、小学生による防水シートへの落書き大会を行いました。また、台風で近くの道や水路が埋まった時には、現場を止めて復旧に努めました。そのため、地元と一体となって施工を進めることができました。
ついにトンネルが無事貫通しました。その時は、地元の人が何よりも喜んでくれました。式典には村の主だった方々を招待してお祝いをし、多くの方から「良いトンネルを造ってくれてありがとうございます」と言われました。建設業として地元に役立つことができて本当に良かったと実感できた工事でした。
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