2019年5月27日月曜日

【建設業の心温まる物語】日立国際電気(東京都)・横山良隆さん

◇有名スポーツ選手になった気分◇

 私が防災無線のスピーカー設置工事を行ったときの話です。防災無線工事では、まず穴を掘り、コンクリート基礎を造って鉄製の柱をクレーンで建て、最後に無線機を設置してスピーカーを取り付けます。

 スピーカーを設置する公園の道路を挟んだ向かい側に、公営の保育所がありました。事前ごあいさつと作業の説明でお伺いした際、責任者の方からお昼寝の時間は大きな音を出さないでほしいと要望されました。

 作業は順調に進み、柱を建てる作業を行う日となりました。、子どもたちのお昼寝が終わるまでは、音が出ない作業を行っていました。そして昼寝の時間が終わったころを見計らい、クレーンのブームを天高く伸ばし、柱をつり上げる準備を始めました。するとお昼寝を終えた子どもたちが保育所の園庭へと遊びに出てきたのです。園庭が公園より少し高台となっていて、作業が子どもたちから丸見えです。

 すると、一人の男の子が「おじさん何やってるの?」と聞いてきました。私が「クレーンを使って長い棒を立てるんだよ」と答えると、その子は「じゃあ僕、応援するね」と言ってクレーン車に向かい大きな声で「がんばれー」と声を掛けたのです。すると、周りの子たちも口々に「がんばれー」と言い始めました。

 私は、子どもたちに「今から行くよ」と声を掛けました。そして柱をつり上げ、所定の位置へと移動させました。子どもたちからは「やったー」という歓声や拍手がわき起こったのです。

 日ごろ、工事中に周りの人から応援されることはありません。しかし、この時ばかりは有名スポーツ選手にでもなった気がしましたし、子どもたちが工事に興味を持ってくれたことをとてもうれしく思いました。

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