4月の統一地方選で当選した首長が改元に合わせるように続々と初登庁している。先日取材に出向いた首都圏のある市も幹部職員や支援者らが30分ほど前から庁舎前に並び、新市長を出迎えた▼女性職員から花束を送られた時、市長が見せた満面の笑み。笑顔ではあるけれども、胸中には今後4年間の市政運営に対する決意が秘められていると感じた▼選挙戦を勝ち抜いた首長は「公約を一つ一つ実現させていく」ことに力を注ぐ。ただ現実はそう簡単ではない。候補者が首長になった瞬間から、住民の生活を守る重責が双肩に重くのし掛かる。トップが交代したからといってそれまでの施策が脇に置かれ、継続性が無視されてしまえば思わぬ摩擦を生む恐れもある▼とりわけ、同様に選挙を勝ち抜いてきた議員で作る議会との対応は慎重さが求められる。保守分裂など勢力図が複雑な場合、議会運営は苦労が絶えないだろう▼くだんの市長も難題と向き合いながら市政のかじを取る。「議会とは丁寧な対話を心掛けたい」。公約実現のために対話と相互理解を積み重ねる。首長の真摯(しんし)な姿勢を、有権者は見ているはずだ。
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