2020年6月25日木曜日

【回転窓】移動制限の今昔

河川は地域を分ける境界の役割を持っている。昔の人たちは橋や渡し船がなければ、川を挟んだ対岸を行き来するのにも苦労していた。水かさが増す出水期は危険が増し、特に移動が制限される▼防衛などの観点から敵が容易に川を越えて侵入しないよう、橋をわざと架けないことも。江戸幕府が諸大名の謀反を警戒して設けた街道沿いの関所と合わせ、橋のない川には、人や物の流れを戦略的に阻害させる役割を持たせていた▼現代でも千葉県と隣接する都県のように境に川が流れている自治体は多い。昔と違う点は交通インフラ網が発達したこと。川の上を道路や鉄道などが走り、移動に不自由さを感じることは少ないだろう▼新型コロナウイルス対策で国民に協力を求めていた「都道府県をまたいだ移動の自粛」。強制力はないものの、多くの人が移動を控えた。今月19日に解除され、出張や旅行で遠出する人は増えつつあるという▼自治体からの休業要請の解除を受け、感染対策の徹底を図りながら、営業を再開する施設も増えてきた。移動できる自由を満喫したいだろうが、ウイルスを体内に侵入させぬよう警戒は怠らずに。

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