東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、東京五輪・パラリンピックで利用する競技会場の仮設オーバーレイ(観客席やプレハブ、テント、照明・空調設備など)の整備状況を明らかにした。
大会開催の1年延期に伴い、既に施工したものを存置するか一時撤去するかを各会場で交渉中。工事の一時中断後、来年の大会本番に合わせ整備を完了させるという。
12日に開かれた理事会後の記者会見で武藤敏郎事務総長が説明した。各会場では今年に入ってから仮設オーバーレイ工事が本格化していた。武藤事務総長は「仮設物の中には存置できるものもあるが、そのままにすると不都合や危険が生じるものは(一時的に)撤去しなければならない。1年延期により今夏に完成する必要は無くなったが、ある程度のところまで仮設工事を進め、存置をお願いし、本番に間に合うよう施工してもらう」と話した。
理事会で報告された仮設オーバーレイ工事の契約状況によると、マラソン会場の札幌大通公園を除く43会場で施工者との契約を締結済み。契約金額の合計は約1202億円(同)に達する。直近では富士スピードウェイを約11億円(税込み)で博報堂、GL events Japan、オサコー建設の3者、国技館の館外を約12・4億円(同)で電通ライブ、館内を約11・9億円(同)で大林組と契約した。
組織委は競技会場などの来年の利用について、月内に全会場で所有者の了解を得たい考えだ。現時点では国立競技場や各都有施設、さいたまスーパーアリーナ、馬事公苑など約8割の会場で交渉がまとまり、契約変更などの手続きに入る。
一方、東京ビッグサイトや幕張メッセ、選手村などは引き続き交渉中。特に展示施設は来年の利用予約が埋まっている状態で、利用者も含めた調整が必要になっている。組織委は同一会場での延期開催の実現を目指しており、武藤事務総長は「来年も借りることを前提に諸条件を調整していきたい」と話した。
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