2020年6月11日木曜日

【回転窓】インフラと現役引退

通勤電車の車窓から何げなく眺めていたトンネル。手前の坑口付近がれんが調で古くに完成したものだろうとは思っていたが、日本最古の現役鉄道トンネルということを恥ずかしながら最近知った▼JR東海道線の横浜~戸塚間に位置する清水谷戸トンネルは1887年に開業。上下線で1本ずつトンネルが並んでいるが、同年に完成したのは上り線側。下り線側のトンネルは11年後に竣工したそうだ▼こうした史実を知るきっかけは、土木学会が作成した鉄道インフラの健康診断書。冊子の表紙に見覚えのあるトンネルの写真が掲載されていて、ふと気になった。ちなみに日本最古の現役鉄道橋梁である山形鉄道フラワー長井線の最上川橋梁(1886年桁製作)の写真も表紙を飾っている▼適切な保守・点検を続けていれば、130年以上も使うことができる。その逆も真なり。さまざまな事情で管理が滞れば、早くに現役引退を強いられるケースもある▼戦後の高度成長期に集中的に整備された社会インフラの老朽化対策は喫緊の課題。過去の事故の教訓を忘れず、賢く使い続けるためのメンテナンス体制の確立が急がれる。

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