2020年6月2日火曜日

【埼京線下り線路移設、山手線ホームと並列に】JR東日本、渋谷駅で新ホームが供用開始

 JR東日本は、東京・渋谷のJR渋谷駅で埼京線と山手線のホーム並列化工事を実施し、1日から埼京線新ホームの供用を開始した。

 駅南側にあったホームを北側に約350メートル移設。埼京線下りの線路軌道をジャッキなどでつり上げ、横移動する作業などを実施した。新ホームは山手線の横に並び、ハチ公改札、南改札に直結し、乗り換えや移動の利便性が大きく向上した。

 2027年度の完成を予定している渋谷駅改良工事の一環。本体工事は15年に着手した。並列化工事は▽埼京線下り線路移設▽埼京線新ホームの供用▽駅北側の宮益架道橋改築▽従来の埼京線ホームの連絡通路化-を実施。宮益架道橋は鉄桁を回転・移動した。従来の埼京線ホームは新南改札への連結通路に整備した。工事に当たり、埼京線・湘南新宿ラインの大崎~新宿間を5月30~31日に運休するといった措置を講じた。

 線路の切り替え延長は約710メートル。工事は5月29日に始まり、同30日には約900人が作業に従事した。JR東日本建設工事部大規模開発プロジェクトグループリーダーの関啓充課長によると、マスクや防護メガネの着用、最少人数での打ち合わせなど、「現場で考えられる新型コロナウイルスのすべての感染対策を講じた」という。

 延長のうち、新ホームなど約420メートルは47連の工事桁があり、門型のつり設備を設置した上で桁をつり、横移動させる方法と、サンドル・ジャッキによる移動の二つの施工方法で、桁を上方向に最大約1・3メートル、横方向は最大約2・6メートル動かした。作業は駅改良工事の中央工区を担当している大成建設・東急建設JVが桁関係、線路軌道は交通建設が担当した。

 線路切り替えは、中央部を構築した上で前後の線路を切り替えるのが一般的。埼京線下り線は西側のすぐそばを山手線内回りが走行する。施工ヤードに制約があり、全体をまとめて切り替えることにした。サンドル・ジャッキの適用部は、仮受け部材のサンドルをジャッキアップしながらはめこみ、桁を高くした後、ジャッキで横移動させた。作業空間が狭く、門型のつり設備を構築できない箇所に適用した。

 1日の始発までに試運転を完了させておく必要があり、入念に準備を進めてきた。関課長は「1年以上かけて施工計画を固めて、リハーサルを経て課題を修正した。(工事桁)1連ごとに班分けし、前後の桁で誤差がないよう測量を徹底した」と施工の精度を確保する取り組みを語った。

 渋谷駅は東西など周辺で再開発が進み、交通利便性の改善や防災対策などのために一帯で都市交通基盤の整備が急ピッチで進んでいる。埼京線は18年に上り線の切り替え工事を行った。下り線の切り替えには、埼京線・湘南新宿ラインの大崎~新宿間を運休するなどの措置を講じた。

 埼京線と山手線の乗り換え時間は5分ほど短縮される。渋谷駅改良工事では、山手線の内回り・外回りそれぞれの横移動とホームの拡幅によって一つのホームを内回りと外回りが使う1面2線化が計画されている。

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