◇時間外労働問題の根深さ如実に◇
建設コンサルタンツ協会(建コン協、大島一哉会長)が会員企業を対象に行った「所定外労働時間等に関する実態調査」(15年調査)によると、全社員に対する離職者の割合は、202社平均の13年度実績で3・9%となり、12年度の5・1%から減少した。ただ、離職した年代は会社の将来を担う20代、30代の若手・中堅世代が約56%と半数を超え、特に売上高100億円超の大手ではこの世代が離職者の8割近くを占めた。
正社員の離職率は、全企業ベースで11年度4・6%(有効回答202件)、12年度5・1%(203件)、13年度3・9%(202件)と推移。離職者の年齢層(15年調査)は全会員企業ベースで「20代」が21・9%、「30代」が33・8%に対して、売り上げ規模が100億円以上の企業は「20代」が40・9%、「30代」が36・4%と高い割合となっている。
◇「このままでいいのか」将来が不安…◇
離職理由(有効回答172件)は「本人による職務適性がないとの判断」(16・5%)、「業界や会社の将来への不安」(16・3%)、「労働時間の長さ」(15・8%)を挙げる回答が多くなっている。労働時間に対する不満のうち、災害時などに出動する「緊急対応が多い」との回答も多かった。
退職後の転職先は、売り上げ規模が40億円未満の小さい企業の離職者は「同業他社」が多く、売り上げ規模が大きい企業の離職者は「地方公務員」が多い。全企業平均で3割程度を占めた「他業界への転職」先を見ると、コンサル業界に近いゼネコンや測量会社などに転職した人は少なく、建設とは無関係の職業に就くケースが8割を占め、業界離れも顕著になっている。
建コン協内では「20代の離職が多いのは指導する人々の年齢が離れていることもある」と各社の年齢構成のいびつさを指摘する声もあり、若手の離職率を低下させる方策などの検討に入る。会員企業から40歳前の社員を公募して19人を選び、このほど若手技術者の会を発足させた。
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