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これはマグロ(しかも最後の1匹!!) |
神奈川・足柄方面の山中を取材で訪れた。所々に自生するヤマザクラの花もすっかり散り落ち、葉の緑が濃さを増している。季節は初夏へと足早に移り変わりつつあった▼初夏の句として有名な〈目には青葉山ほととぎす初鰹(はつがつお)〉。江戸時代の俳人・山口素堂が詠んだこの句は、初夏の風物を視覚、聴覚、味覚の三つからリズムよく見事に捉えているのだが、「花より団子」の性分からか、初鰹の印象ばかりが強く残る▼黒潮に乗って太平洋を春に北上し、秋に南下する回遊魚であるカツオは、春に水揚げされるものを「初鰹」、秋は「戻り鰹」と区別する。江戸時代には「女房を質に入れても初鰹」といった川柳もはやるなど、古くから日本の食文化を代表する魚として愛され続けてきた▼春先から初夏にかけて初鰹の水揚げはピークを迎えるが、近年は漁獲量も減少傾向にあるという。その原因として、海水温の低下のほか、巻き網漁による外洋での大量捕獲などを指摘する声もある▼四方を海に囲まれた日本では、水産資源の維持・拡大も国家の重要課題の一つ。季節を楽しむ豊かな食文化を次の世代に残したい。
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