優秀な職人なしに高品質な工事はあり得ない |
建設現場で働く技能者の不足が深刻化している建設業界で、ゼネコン各社が協力会社の職長や上級技能者の賃金を上乗せする動きを強めている。東日本大震災の被災地での復興事業に加え、2020年東京五輪に向けたインフラ整備、首都圏での再開発などが急激に増えるとみている。安全で高品質の施工を維持するために、現場で作業に当たる職人の地位向上と処遇改善を図り、必要な人材の囲い込みを狙う。
◇シニアマイスター制度の導入が拡大◇
竹中工務店は4月17日、現場で働く優秀な職長「マイスター」の中から特に優れた職長を「シニアマイスター」として認定し、賃金を引き上げると発表した。初認定されたのは21人。同社の現場で150日以上勤務することを条件に、1日当たり3000円を上乗せする。支払いの最低条件となる150日の勤務でも、他の職人より年間45万円も賃金が上がる。東急建設も同日、優良職長認定制度「東急建設マイスター」の見直しを発表。従来はマイスター認定後の報奨金を一律年額10万円としていたが、見直し後は認定時に一時金として10万円を支払い、2年目以降は30万円を上限に支給する。清水建設は従来、現場所長の裁量で対象者と金額(1日当たり500円、1000円、1500円)を決めて賃金を上乗せ支給していたが、4月の改定後は、社長表彰を受けた職長を対象に一律2000円を支給する。建設マスターや登録基幹技能者など公的資格を保有しているとプラス500円(計2500円)とする。支給期間は5年間。社長表彰を受賞した職長はこれまで約50人いる。
優秀な職長・技能者の手当を15年度から増額すると発表したのは西松建設。同社の現場で作業に長く従事する「上級職長」は従来の4倍となる2000円、上級職長の中でも最上位に位置する「西松マイスター」は2・4倍の3000円に引き上げた。上級職長は年間48万円、西松マイスターは72万円を上限に上乗せする。
他社に先行し、昨年12月と今年1月に職長の賃金の引き上げを発表したのは飛島建設と鹿島。飛島建設は優秀な職長を「とびしまマイスター」に認定する制度を創設し、1月に約40人を認定した。日当は1000円を上乗せする。鹿島は15年度、同社の現場で働く優秀職長を「鹿島マイスター」に認定し、1日1000円の日当を別途支給すると発表。16年度にマイスターの中からさらに優秀な職長約100人を「スーパーマイスター」に認定し、日当を3000円上積みする。既存の報奨金制度も見直し、対象をベテランから若手に拡大。毎年度約200人を選定し、10万円を支給する。
大林組は17日、若手・中堅世代の技能者の資格取得を支援する報奨金の導入を公表した。登録基幹技能者と1、2級技能者の資格を取得した職人に5万~15万円を支給する。協力会社にも、職人の資格取得に要した費用の一部を補てんし、負担を軽減する。大成建設は今後、業界内の動向を見ながら、協力会社組織「倉友会」の会員企業を対象に、優秀な職長・技能者(認定者)への特別手当の引き上げなどを検討するという。
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