2015年4月16日木曜日

【首都高再生】大規模更新事業がいよいよ始動

供用開始から半世紀、1号羽田線の東品川桟橋は
海水の影響などで構造物が激しく損傷している
老朽化と過酷な使用状況で構造物の損傷が深刻化する首都高速道路。一部区間は供用開始から50年以上がたち、利用者の安心・安全を守る対策が急がれる中、首都高速道路会社は、大規模更新事業として橋梁の架け替えや床版の取り換えなどを行う必要がある5カ所を選定した。すでに対象となる区間・構造物の更新に向け、調査・設計業務や工事案件の発注が行われている。

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 首都高速道路会社が橋桁の架け替えなど抜本的な対策を講じることを決めた大規模更新対象は全部で5カ所ある(表参照)。このうち「1号羽田線東品川桟橋・鮫洲埋立部更新工事」は、1月に設計・施工(DB)一括方式で入札手続きが開始され、5月下旬にも優先交渉者が選定される。同社の計画では、延長1・9キロの道路を約11年をかけて全面的に架け替える。総事業費は用地費を含め、900億円を超える見通し。




 4月16日には、東品川桟橋に続く大規模更新第2弾として、東京都と神奈川県の県境を流れる玉川に架かる1号羽田線・大師橋を更新するための「高速大師橋更新上下部構造検討」業務が発注された。大師橋は長さ300メートル、幅員16・5メートルの規模。東品川桟橋と同様に、供用開始から半世紀が経過し、橋全体に多数の披露亀裂が発生している。検討業務では、仮橋を架けて更新する「迂回路設置案」と、一時的な通行止めで更新する「一括架け替え案」を比較。新しい橋の構造や施工方法などを整理して、概略設計の取りまとめや概算工事費の算出などを行う。

迂回路設置案のイメージ
首都高速道路会社は、コンサル業務の委託先選定手続きと併せ、都市計画道路の変更手続きを実施。架け替え工事が始まるのは、16年度以降になるという。 

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 首都の大動脈を、経済的・社会的な影響を最小限に抑えながらどう生まれ変わらせるのか―。過去に例がほとんどない大規模プロジェクトを成功させる上でも、産官学の英知の結集が求められているのではないだろうか。

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