2015年4月15日水曜日

【回転窓】反射光と透過光の違い


 ミスプリントを紙では見つけやすくモニター画面だと見つけにくいのはなぜか-。普段の仕事を通じて肌感覚では分かるが、明確に説明するのは難しい。メディア論で知られる英文学者マーシャル・マクルーハンの理論によると、答えは「光」の違いにあるという▼私たちは紙に印刷された文字を、紙に反射した光(反射光)で読んでいる。この場合に人間の脳は、能動的にチェックしながら取り込む情報を受け止めるので、ミスを発見しやすい▼これに対してモニター画面から発せられるのは透過光であり、これが映像として目に入ると、受動的に送られてくる情報をそのまま受け止めようとする。だからミスを見逃してしまいやすい。この仕組みは、『有馬哲夫教授の早大講義録 世界のしくみが見える「メディア論」』(宝島社新書)に詳しい▼マクルーハンの理論に基づくと、例えば電子メールの文面に入力間違いの字が多いのにも納得がいく。送信側も透過光では細部に注意が向かず、送信前にわざわざ印刷して確認する人もいないだろう▼反射光と透過光の違いを認識していれば防げるミスはありそうだ。

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