生産効率を高める技術の重要性が高まっている |
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経営環境が好転した今こそ、将来を見据えて技術戦略を練り直すことが重要だと思う。
長く続いた建設不況で、中田さんの会社を含め多くのゼネコンが研究開発投資を抑えてきた。「現場を支える技術力を磨くことに経営資源を集中するべきだ」。業績回復を受けて中田さんは上層部にそう進言してきたが、十分な回答は得られていない。現場に目は向けても、バックヤードの技研への投資には慎重姿勢が続いているように見える。
かつては技研に配分される予算も人も多かった。20年ほど前の最盛期に比べると、現在の技研の規模は大幅に縮小した。研究スタイルも変わった。昔は一人の専門家が一つの技術をじっくり開発する傾向が強かったが、今は限られた予算と人員、期間の中で成果を出すことを求められる。
研究職は専門性の強い仕事だけに、目の前のことに没頭しすぎる結果、独りよがりで周りに見向きもされない技術になってしまう場合があることは認める。これからは、研究者にも市場のニーズを的確に捉えるセンスや、社会への発信力が求められるとも思う。
無駄な部分を削り落とした上で、多様化する市場ニーズに対応できる研究体制を構築する。そのためには新たな投資も必要というのが中田さんの考え方だ。
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専門は土木だが、長年の技研暮らしで建築分野の開発動向も熟知している。異分野の技術者らの橋渡し役を担いながら、研究開発部門の取り組みを社内外にアピールしていきたいとも考えている。
公共工事の入札に総合評価方式が普及してきたのに伴い、業界各社の中には近年、「他社にわざわざ手の内を見せる必要はない」との考えから自社技術の対外的な発表を控える企業もある。中田さんの会社も、公表の是非を判断する会議を数年前に設置。他社との差別化が期待される技術は、発表内容やタイミングなどを協議する。
「研究者はこれまでの研究開発の成果を自由にアピールできず、関連情報を外に出さないから、技術営業に支障を来すこともある。結果として適用実績がなかかなか伸びず、宝の持ち腐れのような技術も少なくない」と中田さん。最近は、経営層も技術の社会的露出の重要性をようやく再認識するようになってきたが、まだまだ不十分だと思っている。
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もっとも、やみくもに情報を流しても、きちんと受け手側に伝わらなければ意味がない。「受け手側がどんな情報を求めているかをきちんと整理・把握した上で、その技術のすごさを分かりやすく、簡潔に伝える総合的な情報発信力が重要だ」とも。
「研究者たちが苦労して開発した技術をより多くの人たちに知ってもらいたい」。中田さんは、今はまだ名も知られぬ技術に光を当てることも、これからの自分の役割だと感じている。
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