2016年3月9日水曜日

【回転窓】舗装構造の概念変える

今年が生誕300年、没後220年に当たるフランスの著名な土木技術者と言えば、トレサゲ(1716~1796年)がその人。道路工学を学んだ方ならよく知る技術者であろう▼トレサゲは、舗装の路面と路床を上方へ凸状に反らせる工法を提案した。排水を路肩に流して路床への浸透を防ぐ構造で、耐久性を高めるのが目的だった▼だが、後にこの工法では路床を傷めてしまうことが分かる。そして英国のテルフォード(1757~1834年)は路床が平面の新しい舗装断面を考案。これが近代舗装の芽生えになった(日本道路建設業協会ホームページより)▼1970年代に、遮水機能が求められる舗装の概念を大きく変えた透水性舗装が日本で導入される。南アフリカで見たポップコーン舗装を参考にしたと、透水性舗装の研究開発に尽力した三浦裕二日大名誉教授が書いている▼舟運文化の再興にも力を注いだ三浦氏が先月22日に死去した。「雨を地中に戻す透水性舗装。その水の行き先は川。川は道。水は舗装。舟は自動車と考えれば川を使わない手はない」。享年80。実に懐が深い土木屋であった。

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