2016年3月31日木曜日

【若手技術者の学舎に】茨木技術研修センターで「保全スペシャリスト」育成

劣化したRC床版を展示し、研修に役立てている
西日本高速道路会社は、昨年6月1日に開設した「茨木技術研修センター」を核に、若手技術者への技術伝承や、専門技術者の育成に力を注いでいる。大阪府茨木市の旧茨木管理事務所を改修した施設で、愛称は「I|TR(アイトレ)」。施設内には、劣化損傷した実橋梁など道路本体構造物の供試体を多数設置し、点検から診断までの実体験を通じて損傷要因の体系的理解の習得が可能な「体験型研修」を中心に行っている。

 同社やグループ会社の20~30代社員を中心とした研修施設だが、自治体からの受講生受け入れや、大学等と連携した合同研修などにも活用。親子見学会など一般にも公開している。

 全体の敷地面積は5231平方メートル。講義棟は3階建て延べ3369平方メートルで、最大約70人収容可能な講義室や資料室、設計実習室、通信設備実習室、土木実習室、施設点検実習室、通信線路実習室などが入る。

研修センターは学生らの学習の場にも活用している
屋外の立体駐車場や大型車庫には、劣化損傷した実橋梁、劣化を模擬したコンクリート供試体、大型舗装供試体などの道路本体構造物を多数設置。橋梁では、塩害等で劣化した中国自動車道の西下野橋・蓼野橋や、経年劣化した大阪府道鳥飼大橋のRC床版が展示されており、劣化メカニズムや予防保全・補修・補強の留意点などを学べる。

 また、阪神大震災で被災した宝塚高架橋・水堂高架橋の橋脚の展示や、道路橋示方書の基準変遷に応じて配筋した鉄筋供試体を用いて大規模地震時の破壊形態、鉄筋の役割などを学習できるコーナーもある。

 高速道路の総合的な研修施設として、橋梁など道路本体構造物や道路付帯施設だけでなく、通信設備やETC・料金機械設備といった道路付帯設備の模擬設備も設置。故障対応や接客対応などの実践的な研修も行う。

 竹野毅センター長は「点検・診断の高度化や効率化に加え、大規模更新等事業に向けた基準類の整備などに高い専門性が求められる。将来を担う専門技術者の養成にも力を入れていきたい」と話している。

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