2016年3月11日金曜日

【回転窓】震災5年の教訓

東京・西新宿の超高層ビルの最上階からは、周辺でいくつもの開発が進行しているのを見渡せる▼かつて再開発事業の専門家から「開発地の探し方は超高層ビルから眺めることだ」と教えられた。上から見れば老朽化したビル群、木造密集地がどこにあるか一目瞭然。都市が抱える防災面の課題がよく分かる▼東日本大震災からきょうで5年になる。都市構造という「面」に加え、建築や公共インフラの耐震化という「点」の課題もまだまだ残されている。本紙に掲載中の震災5年インタビューシリーズ「これまでとこれから」に登場いただいた方から、それぞれ震災で得た教訓やこれからの防災・減災への貴重な意見が語られている▼「文明が進めば進むほど天然の暴威による災害がその激烈の度を増す」とは、100年前に物理学者の寺田寅彦が鳴らした警鐘である。自然の猛威は時として人知をはるかに超える。その「想定外」が現実になったのが、5年前のあの日だった▼記憶を風化させてはならない。各地の市民が技術者が協力し、地域の防災・減災対策をあらためて考える。きょうはそんな一日にしたい。

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