2016年3月31日木曜日

【新卒採用へあの手この手】建設関連各社、大学や学生との接点増やしPR

 2017年春に卒業する学生の採用に向けた会社説明会が3月1日に解禁されて1カ月。若手の獲得競争が業界を問わず過熱する中、建設関連業界でも人材確保に向けた取り組みが多様化している。大学で土木・建築を学んだ留学生や女性、工業高校の生徒などに門戸を開く企業が増えてきた。学生との接点を増やして企業のPRや採用動向を伝え、受験者を増やすところもある。自社の魅力をアピールし、どう採用につなげるか。各社がしのぎを削っている。

業界や企業の魅力をどう伝え、採用につなげるか。
若手人材の獲得競争は業界を問わず加熱している
 建設業界は、東日本大震災の復興事業や全国での防災・減災対策の増加に加え、大型インフラ整備や2020年東京五輪関連工事など需要増が見込まれる。建設関連各社の採用意欲は高いが、土木、建築を学ぶ学生は年々減少傾向にあり、学生の売り手市場になっている。

 日刊建設工業新聞社が実施したアンケートに回答したゼネコン33社が今春採用する新卒者は最大で合計3434人(15年比401人増)に上る。これまで新入社員の多くを占めていたのは、理系大学を卒業する男子学生だが、建設需要の増加による技術者不足で人材の奪い合いは高校生、留学生、女性にも広がっている。

 来春の新卒採用活動では、採用人数が今春を上回るのは16社で、うち3年続けて増加を計画しているのは、清水建設、フジタ、東急建設など9社。東洋建設は1・8倍の70人(16年比33人増)で計画している。ゼネコン以外で来春の採用人数を今春と比べて増やす(同数含む)計画なのは、▽建築設計事務所(アンケート対象19社)=6社▽建設コンサルタント(14社)=4社▽設備関連(22社)=11社▽道路舗装(8社)=4社▽建機・建機レンタル(7社)=5社▽セメント(6社)=6社▽住設(6社)=4社。各社が採用枠を広げたことで獲得競争はさらに激化している。

 採用活動で重要となるのが大学へのアプローチだ。多くの社がインターンシップの実施回数や会社説明会の機会を増やしている。

 「役員参加の自社セミナー開催」(清水建設)、「土木・建築系学部にとらわれず学内セミナーなどに積極参加し幅広い学部の学生にアプローチ」(竹中工務店)、「会社説明会と大型イベントの集中開催(3月初~4月初)」(大成建設)、「OB社員による大学研究室との交流」(山下設計)、「地方の就職活動イベントに参加」(関電工)など学生との接点をさまざま形で作っている。「学生と直接会える機会を増やす」(住友大阪セメント)など、フェース・ツー・フェースを大事にし、企業の魅力を伝える動きが目立つ。

 経団連が採用スケジュールを2年連続で変更。17年春卒業の学生は今月1日に会社説明会が始まり、面接などの選考活動が前年より2カ月繰り上がり、6月1日以降となる。これによって会社説明会の期間が3~5月の3カ月間となり、前年と比べて2カ月短縮された形だ。

 各社からは、新入社員研修や年度末の繁忙期などと時期が重なり、「短期集中で日程が多忙」などの意見が多く寄せられた。さらに「昨年度に続き企業側の足並みがそろわないのでは」「経団連外の企業が早期に囲い込みをする」などの懸念を指摘する声も上がっている。

 最近の学生は地元志向が高い傾向にあり、全国転勤のある建設産業界を敬遠しがちな面もある。公務員や他産業との人材争奪戦に打ち勝つためにも、各社が業界全体の魅力をPRしていくことが重要になりそうだ。

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