「この中で最高齢ということで…、ひと言しゃべれということで…」。先日亡くなられた建築家の高橋〓(青へんに光=てい)一さん(大阪芸術大学名誉教授)は、あいさつの場面でよくこう切り出していた。軽妙でウイットに富んだ語り口が場を和ませ、聞き手を飽きさせない、楽しい方だった◆東日本大震災から1年半後にインタビューをさせていただいたことがある。取材中は独特の振る舞い、口調に引き付けられ、あっという間に時間が過ぎる。記者泣かせはこの後。文字に起こし、どう原稿として仕上げるか。内容を苦心してまとめながら、口調や人柄も伝わるような文章にしたい。当時そんなことを考えていた◆その3年半前のインタビュー記事を読み返した。ご本人の人柄がにじみ出るような文章にはほど遠いが、震災後の日本社会に対して「閉そく感なんて全然ない。まだまだ日本人は頑張れるはずだ」との言葉が心に刺さった◆震災から5年が経過した。被災地の復興はまだ道半ば。日本の総力を挙げた復興は続く。日本人の頑張る姿を温かいまなざしで見守っていてほしい。(ぐ)
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