2016年3月23日水曜日

【視線の先には】建設関連企業、海外部門の再編加速

海外建設協会がまとめた会員企業の海外受注推移。
アジアを中心に増加傾向がせんめいになっている
 建設関連各社が2020年東京五輪後を見据え、海外事業の基盤整備を進めている。国内市場が18~19年をピークに縮小するとの見方もあり、実行中の経営計画の中に「海外事業の拡大」を掲げる企業が多く、中長期的に海外事業を成長させていくため組織の再編・強化に乗りだしている。4月1日付で海外の営業部門や事業部門の組織を再編したり、拠点を設けて新たな国に進出したりするなど、ポスト五輪を視野に入れた動きが活発化してきた。

 ゼネコン各社の中期経営計画を見ると、「海外」をキーワードに打ち出す社が目立つ。政府が後押しする海外インフラ輸出案件への参画に向けた事業執行体制の構築や、五輪後に売り上げ計上できる大規模プロジェクトの受注に力を注ぐ方針だ。

 大成建設は実行中の中期経営計画(15~17年度)で、海外事業の健全な成長に向けた基盤整備を進めている。その一環として海外事業の営業強化を図るため、営業総本部内に「国際営業本部」と「国際営業担当統括部」を4月1日付で新設する。国際支店の営業部を本社組織に移管。国内と海外の営業連携をより活発化させ、全社一丸で営業活動を推進する体制を整える考えだ。



 4月に3カ年の中期経営計画が始動するフジタは、これまでの成長戦略を踏襲し、建築、土木、海外のコア事業をさらに強化する方針を打ち出す。

 海外は、豊富な実績を持つ中国やメキシコなどを中心に日系企業の生産施設の受注に注力。新たな国での事業展開も図り、将来へ布石を打っていくため4月1日付で「タイ事業所」を新設する。

 新しい拠点を設ける動きは活発化。鉄建は2月にカンボジアの首都プノンペンに事務所を開設した。これにより同社の海外拠点は6カ国・地域となった。東南アジア地域で営業・工事のネットワークをさらに強化し、インフラ整備事業を中心に海外で安定的な受注と施工を確保したい考えだ。

 不動テトラも2月にインドネシアで事務所を開設。米国、ベトナムに続き3カ所目の拠点でアジア全域をターゲットに受注活動を積極展開していく。

 4月1日付の機構改革では、淺沼組が海外事業部に「カンボジア営業所」を新設。東洋建設は経営管理本部に「海外事業推進グループ」を設置する。ピーエス三菱は土木本部海外部を改組して「海外事業室」を置く。

 海外事業の基盤整備の一環として、外国人の人材育成に力を注ぐ社も少なくない。ナカノフドー建設は4月1日付で海外事業本部に「教育研修部」を新設する。ナカノトレーニングセンターの運営・管理業務を所管する部署で、マネジメントのできるローカルスタッフの育成に取り組んでいく。

ゼネコン以外のさまざまな建設関連業種でも海外組織の再編が進む。建築設計界では、三菱地所設計が4月1日付で「海外営業室」を新設する。

 日建設計は1月に始動した5カ年経営計画でグローバル化(海外)の強化とビジネス領域の拡大を2本柱に設定。1月に「グローバルマーケティングセンター」を新設し、本体とグループ会社で海外プロジェクトの情報を共有する体制を整えた。

 高砂熱学工業は4月1日付で国際事業本部国際経営管理部に「企画開発室」を新設。東南アジア統括部ミャンマー事務所をタイ現地法人タイタカサゴに移管し、ミャンマー支店として新たにスタートさせる。新日本空調は5カ所目の海外拠点として15年度内に「カンボジア支店」を開設する。

 JFEエンジニアリングは4月1日付で海外統括本部の戦略企画部を管理部に統合するとともにマーケティング部を新設。同時に「バンコク支店」も開設する。

 東芝エレベータは技術本部のグローバル技術企画部を改編し、「商品企画部」と「グローバル技術部」を新設。海外のニーズに的確に応える技術の開発に取り組む体制を整える。文化シヤッターは海外事業部に「営業部」を立ち上げる。

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