◇現場のお手伝いをしたい◇
息子さんの高校入学をきっかけに少しでも家計の足しになればと始めたのが、PR紙を作成する仕事。得意のデザイン力を生かし、国土交通省中国地方整備局からイメージアップのパンフレット作成業務を任されたのが初めての受注だった。
「二十数年前のことで、41歳の時でした。当時、建設業界は3K(きつい、汚い、危険)職場と呼ばれ、業界全体でイメージアップに取り組んでいました。現場にも顔を出し、イメージアップ予算があると『私に任せてください。良い提案をします』と言って一人で営業していた」
無理せず少しずつ仕事を増やし、売り上げは順調に拡大。数年後には法人化した。大学生のアルバイトを使いながら冊子や看板などを製作。さらには安全祈願祭や貫通式、定礎式、開通式など、現場で行われるさまざまな行事のプロデュースも手掛けるようになった。
「現場に出入りしていると、いろいろなことを相談されます。式典関係の手配業務もその一つでした。その仕事で得た利益で特殊な印刷機械や開通式の機材などを買い込み、すべて自社で用意できるようにした」
広島県三原市にある本社事務所には式典関係の機材が山積みになっている。今では現場作業服の製作も手掛ける。「少数枚の注文でも安価にできるように息子が中国で縫製などの管理業務をしています。デザインは私がやることもあります」。
5年前に義父の看病のため、会社を2人の息子に任せた。ただ、今も時間があればなじみの現場所長に声を掛ける。「現場が好き。これからも現場のためになることがあればお手伝いしていきたい」。
(もりさだ・ようこ)
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