宮城県名取市に、「ナチュリノ」というジェラート店がある。こだわりは地元の食材を使うことで、お米やずんだ、メロン、カボチャなど季節に応じたメニューが並ぶ。一部では、生産者から朝仕入れた果物や野菜を使った「朝採りジェラート」も取り扱っている▼同市を含む仙台南部地域は農産品が豊かな地域だが、東日本大震災で多くの被害が出た。「震災が起きたが、それでも立ち上がった。その人たちが作っている物が悪いはずがない。果物や野菜の味も絶対に違う」。運営する図南商事の鈴木知浩社長は信念を持った口調で話す▼災害廃棄物を撤去して、インフラを復旧し、農地を再生させ、生産者が土を耕し、実りの季節を迎える。そんな一つ一つの作業を経て、新たな誇りが生まれてきている。そうした誇りをいかに増やしていくかが、復興のカギのように思う▼同店では、お米ジェラートをいただいた。濃厚でありながら、甘みは柔らか。冬空の下だったが、心がほっこりした▼震災から間もなく5年。苦労も悩みもまだ山積みだが、東北の地には新たな芽生えもある。そんな姿を実感させる味がした。
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