3月の卒業シーズンも終わりだが、この時期の学校ではもう一つの別れの場がある▼転任する教師たちの離任式である。地域や学校によっては「辞校式」とも呼ぶらしい。どのような言葉で別れを告げるのか。学校や生徒たちへの思いが強い分だけ、後ろ髪を引かれる気持ちで新たな学校に移っていく先生も多かろう▼東北の工業高校で土木を教える一人の教師から、転勤を知らせるメールが届いた。この高校がある地域は東日本大震災で津波被害に遭い、被災直後から教員と生徒たちががれきの片付けや避難所での支援活動に奔走。本紙記者が初めて取材に訪れたのは、震災から3カ月後だった▼「土木の教師としてどうすればいいのかを考えなくてはいけないと分かっていても、目の前のことへの対応でどうしても思い付かない」。被災してまだ間もないにもかかわらず今後の復興のあり方を尋ねてしまい、そう本音を話していただいたのが強く印象に残る▼転任先は土木の潜水技術が学べる専門科を持つ高校という。4月の新学期はもうすぐ。これからも次代を担う技術者の教育に汗する先生にエールを贈りたい。
0 comments :
コメントを投稿